柘植〜加太間には時刻表にはない中在家信号場があります。ここは1000分の25パーミルという急勾配の加太峠があり、峠を登り切ったところにスイッチバックという退避線を設けた信号場が設けられ、列車の交換(行き違い)が行われてきました。蒸気機関車の時代から、列車が上下それぞれに設けられた待避線にジグザグに入り、列車交換が終わると本線に戻って行く光景が見られました。勿論全ての列車がそうしたわけではありませんが、全国的にも珍しい施設で、急勾配で列車を安全に停止させ、発進させる方法のひとつとして考え出された鉄道施設です。かつては長い待避線が下り方向に2線あり、本線上には短いホームと信号場の建屋があり、職員が手動でポイントや信号の操作を行っていました。しかし、自動信号機化された以降は無人化され建屋も取り壊されました。待避線も短いものが1線になり、スイッチバックする列車も少なくなってしまいました。そしてついに、今年3月のダイヤ改正で、スイッチバックする列車がなくなってしまいました。今後、施設が完全に廃止される可能性も高いでしょう。私もこれまでに何度かスイッチバックする列車に乗りましたが、先を急ぐことを拒むようにゆっくりと停止、後進する列車はスローな旅の面白さを教えてくれるような感じがした印象があります。すぐ脇を高速で走る名阪国道の車列とは非常に対照的に映りました。鉄道の高速化とともに消えていった歴史的遺産ともいえる施設が最近まで関西本線には機能していた訳です。今度、この区間を通ることがありましたら、どのようになっているか確認したいと思います。画像は今年の1月に団体臨時列車(伊勢初詣のお座敷列車)の撮影のため、信号場の近くで撮影したものです。左上=上り列車が本線から上り方待避線に進入、中央=下り方待避線に後進、右上=下り普通列車と交換、左=再び本線に戻り加太方面へ発車 |