夜明け前の糸魚川駅構内留置線に佇んでいたのは、こちらもすでに稀少価値となった国鉄急行色のキハ58・28型でした。関西本線でもかつて長年にわたり活躍したあのクリームと赤色の車両です。普段は金沢の車両所で臨時用に配置されているだけのものなのですが、実はこの旅行の前に、この車両が大糸線のキハ52の予備車として4日だけ運用に入ることが分かっていました。ところが、それが私達が訪れる日の翌日(19日)からということで、既に18日で予定を組んでいた私達とは1日違いで出会うことはないだろうと思っていたのです。本当は走行する19日まで滞在して恐らく最後となるだろうキハ58・29の勇姿を拝みたかったのですが、私達が訪れた日に既に金沢から出張してきていたということです。日が高くなった時間に、もう一度会うことにして、私達は、始発キハ52(朱色)の南小谷行きで最初の撮影地、平岩へ向いました。キハ52は、ワンマン改造や冷房装置の取り付けなどが実施されているものの、そのほかは国鉄時代の雰囲気そのままで、懐かしいディーゼルサウンドを奏でながら、ようやく白みかけた風景を車窓に写しつつ晩秋の鉄路を力強く走ります。昭和40年製造とあれば私と同世代、鉄道車両としてはそろそろ引退の時期ではありますが、最近はプロ野球選手でも40歳を越えて活躍する人達が増えています。これからも働くオジさんの輝く星としてもっと頑張って欲しいと思います。列車は約40分ほどで平岩に到着。ここで7分間停車します。撮影のため駅で待機していた人達と撮影会と相成りました。南小谷行きが発車した数分後、今度はツートンのキハ52がやってきて、ここで折り返し糸魚川行きとなります。私達はこれに乗車して一つとなりの小滝駅へ行くことにしました。(続く) |