到着したキハ20は折り返し阿字ヶ浦行きとなる列車で、単行(1両編成)列車でした。その昔、関西本線でも走っていたこの車両、車内の雰囲気は当時とほぼ同じで簡易型のクーラーが目立つもののJNR(国鉄)の扇風機も栓抜きも健在です。DMH17型と呼ばれるエンジンの懐かしいサウンドを少し窓を開けて聞いていました。やがて車内はほど良く席が埋まり発車となりました。近在の人、観光客、私と同じ鉄な人などを乗せてエンジン音を高らかに響かせゆっくりと動き出しました。暫らく常磐線と併走したあと、左にカーブし、住宅や工場のある市街地の中を走り抜けます。片側ホームの小さな駅をいくつか過ぎて、やがて田園地帯や森の中に進みます。このあたりは海に近く、平坦なところが多いため、軽快に走ります。非電化単線のローカル私鉄とはいえ、線路など軌道はしっかりしているようで、コンクリート枕木も多く使用されています。お陰で不快な揺れもなく快適な乗り心地でした。高速道路の高架をくぐると湊線の拠点駅である那珂湊に到着します。ここには車両基地が置かれ、全ての車両が集結しています。また線内唯ひとつの列車交換可能駅で、ホームは2面あります。張り出しの大きな風格のある駅舎と構内踏切、駅前には古い日通の事務所があるなど一昔前の地方駅の雰囲気そのままと言った感じです。ここで勝田行きの上り列車と行き違い待ちをします。ホームに待っていたのは旧国鉄の準急色に塗られたディーゼルカーでした。つづく |