| (つづき)津山駅構内の扇形庫では、構内の見学会が開かれており、事前に予約した人たちが大勢たむろしているのが見えました。ここでは、1両しか製造されなかった貴重なディーゼル機関車DE50型や鉄道資料が公開されていて、イベントの期間中それらを見ることができるのです。みまさかスローライフ号に使用されるキハ28,58型の2両は、この扇形庫の外で出発準備をしており、その周りも人だかりができており、皆思い思いにカメラを向けていました。このキハ28,58型は1961年から製造され、約1500両が日本中の国鉄線上で主に急行列車として活躍しました。国鉄からJRに移行してからは徐々にその数を減らし、今は殆ど見ることができません。数年前までは数多く所有していたJR西日本でも、現役は僅か数両のみとなっている上、国鉄時代の塗装を纏っているのはこの2両のみなのです。私の地元関西本線でも10数年前までは当たり前に見ることが出来、紀勢本線では数年前までその姿をみることができました。しかし経年が進んだ結果、急速にその数を減らしていったのです。津山駅のホームで待つことしばし、やがてその2両のディーゼルカーは駅構内を移動し、乗客たちの待つホームに据え付けられました。ドアが開いて車内に乗り込むと、あの独特の匂いがします。改造された車両も多いのですが、昨年まで広島県の芸備線で急行列車(みよし号)として使用されていただけあって、昔と変わらない車内の雰囲気があります。エンジンも換装されていないオリジナルなので、あの特徴的なディーゼルサウンドと心地よい振動が懐かしさを増幅させます。座席もほぼ埋まったところで出発の時間がきました。汽笛を一声し“国鉄”列車が発車しました。(つづく) |