伊賀鉄道が10月1日で開業1周年を迎えました。1年が経つのは早いものです。昨年、大手私鉄近鉄から独立し第3セクターを経営母体として船出した新生伊賀線。それはまるで荒波の大海へ漕ぎ出す小船のようだと思っていました。1年を経て変わったことはいくつもあります。良くなったことと併せて新たな課題も浮き彫りになったのではないでしょうか。まず、良くなったこととしては、定期利用者以外の一般利用者の減少が下げ止まり、増加に転じたこと、開業と同時に実施した運賃値上げが功を奏し、約1億円の増収になったこと、年間4億円以上の赤字が2億円台にまで圧縮される見込みであること等など。これらのことは、路線存続が究極の課題である伊賀線にとって大変喜ばしいことです。この1年間、新会社は地元密着型の鉄道として、大型イベント(忍者フェスタ)とのコラボレーションなど今までになかったアイデアで乗客の増加、伊賀線への関心をひく努力がなされてきた結果だと思います。また、伊賀線友の会をはじめとする応援組織、市や地元企業の後押しも大きな力となっています。次に、新たな課題としては、この1年間の好調さは、ある意味、開業ブームに乗った部分もあると思います。さすれば、これからが正念場、この調子を維持しさらに確実なものとすることが試されます。斬新なアイデアで果敢に挑戦することが求められます。私が見る限り、平素の昼間の状態を見れば、空気輸送となっている列車がまだまだ多い現状です。改善の余地はまだまだあるでしょう。今夏から始めた、無人駅での前ドアのみ開閉とする扱いの変更も、確実に車内の料金箱に切符と料金を収受するには至っていません。添乗員がいない時は、乗り降りするドアが1箇所になっただけで、状況は以前と変わらないと思います。JRなどで行なっているように乗務員による努力が必要ではないでしょうか。また線路設備の不具合か、区間によっては相当不快な揺れを感じます。乗客が快適に乗車できるように線路設備改善のための投資を行なうべきと考えます。まあ色々ありますが、なにはともあれ、安全運行については無事に1年を過ごせたことはめでたいこと、課題はこつこつ克服していけるよう、みんなで協力することが何より大切なことですね。 |