秋の行楽日和となった11日、山陰本線浜坂まで、鉄道趣味仲間のtetsuさんにご同行いただき、懐かしい国鉄型車両で辿る日本の原風景と鉄道遺産を訪ねる旅を楽しんできました。当日は、早朝から列車を乗り継ぎ、大阪からは国鉄時代から活躍する181系気動車による「特急はまかぜ1号」に乗車し城崎温泉口を目指しました。はまかぜ号は、大阪から六甲の山並みや須磨の海を見ながら山陽本線を西に向かい、姫路からは向きを変えて播但線を北へ、長閑な山里風景の中を北へ進みます。田圃の収穫が終わった沿線は秋祭りの最中で、至る所でお宮に幟が立ち、神輿を担ぐ人々の姿を見かけることができました。かつてC57型蒸気機関車が3重連で挑んだ生野峠越えでは、強馬力のディーゼルエンジンが唸りを上げ険しい山道を辿ります。山越えを難なくこなすとやがて山陰本線との接続駅和田山に着きます。ここには、SL時代に機関区支区が置かれていたところで、古いレンガ車庫や給水塔が残されており、しばし往時を偲ぶことができました。但馬の中心都市豊岡を過ぎると程なく、文人にも愛された温泉町城崎温泉口に到着です。多くの乗客と共に私達もここで下車し、昼食をとったあと、臨時列車「快速あまるべマリン号」に乗り換えました。マリン号は、今や大変貴重となった国鉄急行型ディーゼルカーキハ28・58型2両を使用した列車です。カラーリングも勿論、クリームと朱色の国鉄急行色です。懐かしいエンジン音を響かせながら、日本海沿岸の小さな漁村をトンネルと鉄橋で繋いでいきます。小さな駅では通過、はたまた運転停車して特急列車と行き違いしたりと、かつて、単線の山陰本線を多数往来したディーゼル急行の趣を体験しながら進むと、カニと景勝で知られた香住海岸が右手に広がり、いよいよ沿線のハイライトである餘部鉄橋に差し掛かります。トンネルを抜け視界が広がると高さ40メートルからの空中散歩です。そばにはクレーンのアームが伸びており、既に架け替え工事が進捗していることが分かります。しかしゴトンゴトンという鉄橋独特の通過音を聞きながら日本海の絶景を望む体験はまだしばらくできそうです。列車は鉄橋を渡りきったすぐの餘部駅に停車。この駅は集落から長い山道を登った所にあり、決して便利ではないものの、周辺住民が資材を運んで建設に寄与したという悲願の駅であったとの話が残っています。餘部駅を出発した列車は、ゆるやかな下り勾配を軽やかに進みます。私は気候の良い時は、キハ58のように窓の開く車両では、いつも窓を大きく開けて、列車が線路を刻む音やディーゼル音、沿線の空気、香りを堪能しながら旅をするのが好きで、今回も同じように五感で楽しみました。やがて列車は終着浜坂に到着。私達は、折り返し、同じ列車で城崎温泉口まで戻り、駅前の温泉施設で休憩し、帰路につきました。鉄分吸収大満足の1日でした。 画像上から 特急はまかぜ1号(大阪駅) キハ58・28型快速あまるベマリン号(城崎温泉口駅) 餘部鉄橋通過中(キハ58乗務員室) 山陰本線を疾走中(キハ58車内から) |