西日本地区で唯一、国鉄時代の面影を残す特急列車として活躍を続けていた381系電車がその定期運用である、山陰本線、福知山線系統の「きのさき」、「はしだて」、「こうのとり」から10月末をもって退役するとの情報を得ていたところ、運良く福知山市への用務が出来、引退二日前にその姿を記憶に留めることができました。 この381系は、日本初の振り子式電車として登場し、カーブで車体を振り子のように傾けることによって曲線の多い路線での速度向上に寄与しました。中央本線の「しなの」でデビューし、紀勢本線の「くろしお」や伯備線の「やくも」に投入され、最近は、上記の北近畿方面の特急列車でも活躍してきました。今回、「くろしお」とともに新型車両への置き換えが決まり、約40年の活躍に終止符を打つことになったものです。特に、山陰、福知山線系統の列車は、あずき色とクリーム色を纏った往年の国鉄特急色を維持しており、西日本地区ではこのカラーリングの列車は全廃となってしまいます。 大きい客窓に高運転台という、ボンネット型以外の国鉄特急といえばこのスタイルですが、この381系は重心が低めで屋根上に機器が少なくすっきりとした端正な形状が好印象です。私自身も、過去に「くろしお」や「しなの」で何度も利用してきましたし、数年前までは、関西本線の加茂〜大阪間で大和路ライナーとしても活躍しました。特に平城京遷都イベント用に奈良〜新大阪間で臨時運転された特急「まほろば」でも使用されたことは記憶に新しいところです。 この日は、新大阪から福知山まで特急「こうのとり」、福知山からの帰路は京都まで特急「きのさき」を利用し、最後のお名残乗車をしました。撮影は駅撮りのみでしたが、平日にもかかわらず沿線には最後の雄姿を収めようとするファンの姿をみることができました。車両自体は、伯備線の特急「やくも」で暫く活躍が見られますが、専用塗色のため、国鉄特急の面影は薄いのが残念です。地方線区の速達性向上に貢献し、その後の新たな制御システムを備えた振り子式車両の開発に先鞭をつけた381系の功績は賞賛に値すると考えるのと同時に、またひとつ古き良き国鉄時代の面影が消えていくことに寂しさを感じざるを得ません。 |