一般にはあまり知られてはいませんが、関西本線の非電化区間である加茂〜亀山間を運行管理するJR西日本の事業組織に亀山鉄道部という部署があります。 この組織が今年度で発足から30周年と言うことで、列車内のPR広告(画像右)や一部列車の前面にヘッドマーク(画像左)が掲げられています。 鉄道部は、国鉄民営化間もない1990年頃、JR西日本の地方事業組織として設置されたもので、もちろん亀山以外にも各地にあります。それまでは、JR東海が管理する名古屋〜亀山間を除き、大阪方の加茂以西の電化区間も含めて本社または大阪支社が関西本線を一体で管理していたのですが、このような組織を置いた理由として、大まかに言えば、採算性の良くない非電化区間を合理化し効率的に運営しようという事で設置されたものだと思います。その頃から、JR西日本では本来の線名ではなく愛称を付けて呼ぶようになり、加茂以西は関西本線を名乗らず大和路線という愛称で呼ぶことになりました。これに合わせるかのように市販の時刻表でも、まるで別の路線かのごとく別れて掲載され、乗り換えの検索がしにくくなった覚えがあります。当時、これらの動きは、非電化区間を切り離すことで、廃線への序章にするのではないかと危惧する声も聞こえていたように思います。 亀山鉄道部の30年間を見れば、発足当初、他線区に先駆けて、国鉄以来の旧型車を新車(キハ120)に置き換えたことや、増発やスピードアップ、イベント開催などに積極的に取り組まれていて、地域密着型組織を設置した効果を大いに発揮したと思います(その後、急行の廃止や普通列車の減便など、取り組みが後退してしまったのは残念なことでした。)。 しかし、他の線区では利用客減に伴う大幅減便の措置が採られているところも多い中、昼間1時間ヘッドのダイヤを維持し、来月にはICOCA利用エリア拡大も果たすこととなり、コロナ禍の悪条件にあっても懸命に活性化への努力が続けられていると思います。 折しも、数日前に、JR西日本の社長会見で、維持が難しい不採算線区が多く、廃線も含めて地元と協議したい旨の発言がありました。コロナ禍と地方の沿線地域が少子高齢化と人口減少の荒波に揉まれるなかにあって、鉄道事業者のトップからこのような発言が出るのはやむを得ない面もありますが、鉄道のみならず地域の存続に関わる問題だけに一鉄道事業者と沿線自治体だけの問題とするのではなく、国全体の交通政策における課題として捉えて欲しい問題だと思います。 会見では、たちまちの協議対象線区こそ明らかにされませんでしたが、関西本線非電化区間も決して他人事ではない気がします。もし将来にその問題に直面した時、慌てることのないように、路線と沿線地域をどういう絵姿にしていくのか、今後、関係者がしっかり議論していくことを期待したいと思います。 |