時節柄、外出自粛を余儀なくされていましたが、所用が出来、岐阜県美濃市を訪れる機会を得ました。短時間でしたが、かねてから訪問してみたかった旧名鉄美濃町線美濃駅に立ち寄りました。 名鉄美濃町線は、岐阜市内と美濃市を結ぶ名鉄600V電化区間と呼ばれる、路面電車と郊外電車が合わさった特徴的な路線でしたが、残念ながら1999年の新関〜美濃間に続き2005年に岐阜市内線などと共に全線が廃線になりました。
当時、規制緩和の流れの中で、鉄道事業法が改正され、地元同意がなくても鉄道を廃線できるようになったことから、大手鉄道事業者でさえ、利用が少なく採算性の低い路線を廃線にすることが相次ぎました。名鉄でもこの時、美濃町線をはじめ多くのローカル線を廃線にしてしまいました。 美濃市は、うだつの上がる古い町並みが残る魅力ある町ですが、鉄道でのアクセスは長良川鉄道のみで、県庁所在地の岐阜市へは直通できません。今は、鉄道事業が苦しくても、国や地方自治体の支援制度により、維持存続される例が増えていますが、美濃町線もそのように存続されていれば、観光誘客やまちづくりに活かす取り組みもできたのではないかと思います。
さて、旧美濃駅は、保存会が駅舎とホーム、それに貴重な車両を静態保存し美濃町線の遺構を今に伝えています。特に町のシンボルであったであろう立派な駅舎と前身の美濃電気鉄道から活躍したモ510型512号は鉄道文化遺産といえます。これらは、保存会の手によりメンテナンスされ非常に良好な状態で維持されています。改札を抜けホームに立てば、美濃町線があった当時を偲ぶことができます。なお、特定の日には、駅舎内で貴重な鉄道グッズや懐かしい昭和のレコード販売も行われており、お宝を探すのも楽しそうです。 |