ふとしたきっかけで鉄道趣味の面白さに再び目覚めた。楽しみ方は色々鉄道趣味は奥が深い。私の趣味活動をほんの少し披露し、併せて伊賀地域の鉄道の将来について考えます。
 
2023/02/21 21:13:00|伊賀線のこと
松本零士さんの訃報に接して
  漫画家松本零士さんの訃報を昨日の報道で知りました。
同時にメディアの取り挙げ方がことのほか大きく、あらためて氏の存在の偉大さを知った次第です。
  私にとっては、幼い頃に夢中になって観ていたテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」、「銀河鉄道999」の作者として、早くからその名を覚えた漫画家であり、とりわけ平成9年に登場した、地元を走る伊賀線の忍者列車が、著名な氏のデザインになった時には、とても嬉しく、誇らしく思ったものです。
  その後も氏の作品に親しむとともに、伊賀線忍者列車もデザインのバリエーションが増え、直接お会いしたことはないのに身近な存在に感じていました。ヤマトにせよ、999にせよ強く惹かれたのは、精緻かつメカニカルな描写でしょうか。ともに宇宙を旅することになった、かの大型戦艦に日本最大の旅客用蒸気機関車は子供の頃のお絵描きの良いお手本になりました。そして、それらに通じる哲学は、氏の人生のなかで培われた「生きることの重さ」や「戦うことの愚かさ」だったとのこと。決して意識して観ていた訳ではありませんが、それらの秘められたメッセージが知らず知らず自分の人格形成に影響を与えていたのかも知れません。
  また、忍者列車を通じて伊賀の地域振興に寄与いただいたことは決して忘れてはいけないことだと思います。訃報を報じるテレビの全国ニュースにおいて、かつての860系に施された初代忍者列車の映像が流れたことは、地元民にとってもマイレール意識やシビックプライドを大いに刺激することであったと思います。
  これからも氏の残された功績、特に私たち伊賀に住む者にとって、忍者列車という偉大な作家による作品を大切に、地域の活性化に活かしていければと切に思います。
文字通り永遠の旅路につかれた松本零士さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。合掌







2023/02/17 21:24:05|遠征記
岳南電車を訪ねて

 所用で静岡市に赴く機会があり、空き時間を利用して、以前から訪ねてみたかった岳南電車に乗ってきました。
静岡駅から沼津方面に東海道本線で約40分、富士市の吉原駅で下車し、ホーム端の長い跨線橋を渡ると岳南電車の乗り場があります。
 かつては、岳南鉄道を名乗っていましたが、平成24年に主力の貨物輸送が廃止され、経営が悪化、行政の財政支援を受けるとともに鉄道事業を分社化して子会社の岳南電車として再出発したものです。
 さて、訪問の目的は、存続の危機を脱した後、夜景電車の運行やグッズ開発など様々な取り組みにより活性化を図っていると聞いており、それを見聞することでしたが、平日の昼間、しかも雨模様とあって、駅や車内はいたって静かそのもの、各駅から富士山を望むことができると定評の沿線風景も、富士は全く姿を見せず少し残念な結果となりました。
 吉原から終点の岳南江尾まで全長9.2キロ、乗車時間は約20分程度の短い路線ですが、夜景列車のハイライトとなる製紙工場のプラント内や、街なか、田園風景と飽きることはなく、これに雄大な富士山が見えていれば車窓に釘付けになったことでしょう。
 途中の主要駅の構内は比較的広くゆったりとしており、貨物輸送全盛時代を偲ぶことができます。岳南富士岡駅構内には貨物輸送に活躍した電気機関車が4両、貨車2両が静態保存されており、自由に見学することができます。中でも昭和初期製造の古豪機は、伊賀線でも活躍した電機にタイプが似ており懐かしさを感じさせるものでした。
 旅客用の電車は、2両編成(8000形、9000形)が2本、両運転台車(7000形)2本で、いずれも元京王電鉄車ですが、中でも7000形は京王3000系の中間車を先頭車化改造したもので大変特徴的です。
 乗車してみて特に印象的だったのは、貨物輸送のために整備された軌道の良さでしょうか。全線PC枕木が入った重軌条のようで乗り心地の良さに貢献しているようです。
 吉原駅で売られているグッズ類も他社でよくみられるものが多いものの多種多様あり、選ぶ楽しみもありました。面白いと思ったのは、使用済み硬券を詰めた硬券ガチャでしょうか。ひとつ100円で5〜6枚の切符が入っていました。
 天候悪く駆け足の訪問でしたので、次回は好天の時にゆっくり沿線を巡りたいと思います。



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2023/01/09 10:45:18|その他
2023新春雑感
明けましておめでとうございます。
穏やかな新春を迎えました。伊賀鉄道上野市駅(忍者市駅)駅舎にも恒例の大きな注連飾りがかけられ、迎春のボードとともに葉牡丹の植え込みが置かれています。注連飾りは地元で地域づくりを考える団体が毎年準備頂いているものとのことで、尾の右側が太い関西風のものになっています。伊賀は今でこそ行政的にほぼ中部、東海に属しますが、歴史的にも文化的にも西の影響を受けてきたことのひとつの表れといえるでしょう。
さて、今年の伊賀をめぐる鉄道の展望はどうでしょうか?コロナの終息はまだ見通せませんが、伊賀鉄道伊賀線では、インバウンドの団体利用も復活し、大きく減ったであろう定期外の利用者が戻ることを期待したいところです。全線開通100周年を終え、次の100年を見据えた「地域に鉄道の活かしかた」を考え実践する一年にしたいものです。
関西本線は、昨年、維持が難しい線区であることが示され沿線地域に激震が走りました。しかし、このことは遅かれ早かれやってくることでもありました。人口減少と少子高齢化が進む沿線の地域状況から現状の姿では、採算性を重視する民営会社のもとでは厳しい存在であるに違いありません。それがコロナ渦で早まったということです。しかし、沿線地域や国土形成上のインフラとしての価値から簡単に失う訳にはいきません。関西本線を今後どのような絵姿にして活用していくのか、鉄道事業者と関係自治体の協議の行方、そして国はどうしていくのか、しっかり注視していきたいところです。
近鉄大阪線や草津線には大きな変化はあまり無いでしょうが、こちらはこちらでコロナ渦からの立ち直りがどうなのか気になるところです。
将来に向けては、昨年、リニア中央新幹線の三重県内停車駅が三案、県の期成同盟会から示されました。いずれも亀山市内ですが、伊賀地域にも影響する話題です。関西本線や他の交通体系との連携も考えた最終判断を望むところです。
それぞれに課題や期待をあわせ持っているようですが、今年も地域の鉄道から目を離さず自らも出来ることをしっかり実践できればと思います。
今年もよろしくお願いいたします。








2022/11/16 21:26:03|遠征記
懐かしのディーゼルカーが遂に終焉へ(その3)

 大原行き急行列車は、途中の大多喜駅まで各駅に停まる普通列車の扱いとなります。国鉄時代の演出なのでしょうか、車内アナウンスの前にオルゴール「アルプスの牧場」の曲が流れます。時折途切れる感じも当時のままで、これを聞けただけでも得した気分になります。タイフォン(汽笛)も新型車両にありがちな電気的な音でなく、旅情を誘うというか哀愁漂うというか管楽器が奏でる音のように何とも素敵なのです。
この日は秋晴れの穏やかな日和で、11月とは言え、まだ日中は気温が高く、乗客も多いため、冷房が入っていましたが、キハ28形には冷房電源のための補助エンジンが床下に搭載されているのが特徴で、冷房装置が働いていると、カランカランという国鉄型気動車独特の小気味よい主エンジンの音が聞き取りづらいのが少し残念ではありました。それでも、発進、加速、惰行、減速、制動とそれぞれの走行シーンで重厚なサウンドと振動を感じられるのが何より嬉しく思いました。  

車体外観については、実はJR西日本時代に暫くワインレッドに白帯という高岡色という塗色になっていたのですが、いすみ鉄道に移籍する際に、JRの工場でオリジナルの国鉄急行色に戻されました。それから約10年が経ち、全体に退色、錆も出て、ひどいところでは塗膜が剥がれてしまった箇所も見受けられます。数年前から冷房エンジンの不調もあると聞いていました。まさに満身創痍の状態が続いていたのだと感じます。昭和の急行列車やレストラン列車など、今のいすみ鉄道の知名度を全国区に押し上げた立役者であるものの、元来、体力の弱い事業者では、その維持、修繕を行うことは到底叶わなかったということでしょう。しかし、私にとっては、思い入れのあるキハ58・28系列の最期の現役車両、JR線上から姿を消し、もう生きた姿を目にすることは無いと思った矢先、虎の子の1両がまさかのいすみ鉄道移籍となり、今までその姿を見て、乗車できたことは感謝しかありません。遠方でもあるので、11月27日の最終運行までにもう一度来ることは叶いません。今回が本当の現役最後を体感する機会となりました。  

列車は、JR外房線と接続する終点の大原駅に到着後、折り返し大多喜行き急行となり、その日の運用は終わりです。以前はもう少し本数がありましたが、延命のためか、車庫がある大多喜を境に上下1往復するのみとなりました。私は、外房線に乗り換えそのまま帰途に就くところ、もう一度、キハ28で大多喜まで戻り、存分に別れを惜しんだあと、いすみ鉄道を後にしました。
引退後の処遇はまだ決まって無いそうです。解体は無さそうですが、唯一残るキハ52形の部品供給をする役割になるのか、国吉駅で動態保存されているこちらも貴重な元JR/国鉄のキハ30形と並んで展示されるのか、はたまた何処かの地方ローカル鉄道に劇的移籍!?なんて、期待半分で発表を待つことにしましょう。  








2022/11/08 17:47:05|遠征記
懐かしのディーゼルカーが遂に終焉へ(その1)
 この武骨な面構え、昭和世代の方には懐かしいと思いませんか。正真正銘、旧国鉄が製造し、国内各地で活躍した急行型気動車キハ28形。2エンジン搭載の同系列キハ58形と合わせ1800両以上製造されましたが、既にJR線上ではその姿を見ることは出来ません。
   約10年前、経営難に喘ぐ千葉県の「いすみ鉄道」活性化のため、JR西日本から譲渡された虎の子の1両(キハ28-2346)が、車内で本格的フレンチが食せるレストラン列車などとして運用されてきました。そして、今もキハ58.28系列国内最後の稼働車として活躍しています。
    しかし、既に車齢50年を超え、維持も難しくなってきたことから、今月27日をもって定期運行を終了することがアナウンスされました。来年初頭までは臨時列車としての運行もあるようですが、実質的に今月末がラストラン。多くの同好の方が集まることが予想されることから、時節上の迷いもありましたが、関西本線でも長く活躍した思い入れのある車両でもあるので、その最後の勇姿を見届けるため遠路千葉まで行って参りました。(続く)