去る4月29日、岡山色に衣替えした亀山運転区の関西本線専用(だった)キハ120型2両がDD51ディーゼル機関車に牽かれ旅立った。 この日も多くの情報通の人たちの被写体として脚光を浴び、通いなれた関西本線を後にしていった。新製配置から早や30年あまり、一時も亀山の基地を動いたことがない14両のうちの2両だ。たかが2両、されど2両、前回にも書いたが、この出来事の意味するものは何か、車両の転属などは国鉄時代は全国規模で頻繁にあった。しかし、それはよくも悪くもおおらかな時代、輸送力が過剰でも経営にあまりシビアでなかったときのこと。対する民営化後、出来るだけ省力化を進めたJRは輸送力の要のひとつである車両は、維持するコストが高額になるため過剰には持たなくなった。また、線区によって地域性が際立つ地方線区用の気動車は、他線区への転用はあまり例がない。 このたびの転属が、岡山エリアでの輸送力強化のためなのか、国鉄時代から残る古い気動車の置き換えのためなのか、今はまだわからない。しかし、関西本線にとっては、今後、輸送サービスの改善につながる増便や増車の可能性は、極めて難しくなったといえる。代わりの車両が来ないならば、明らかな輸送サービスの後退に違いない。 民営化直後に比べ、加茂〜亀山間の輸送量は約4分の1になったという。原因は色々あるだろう、沿線人口の減少、少子高齢化、マイカー依存の高まり、しかしそれは推し量れば十分に想定できたもの。それに対して、ニーズの掘り起こし、サービス改善を行ってきたのか、旧態依然としたサービスのままで、もっと乗れとは無理がある。果たして、改善を求める沿線住民や市町村の声に応えてきたのだろうか?JRも府県も聞く耳を持たなかったのではないだろうか。コロナ渦を経て最悪の状態が近づいて、やっと重い腰を上げたようにしか見えない。もっと早く打つ手があったのではないか?と今さらに思う。 利用促進策の協議を沿線自治体と行っている最中にもかかわらず、車両の削減を行うJRの見解は如何に?「キハ120型は、線区内の現状の輸送量に適した配置の車両数としました。一方、沿線自治体と検討している利用促進策として、都市部からの利用の潜在需要を掘り起こすには、他からもっと立派なクルマを持ってきますからご心配なく」、と是非とも言ってほしいと思う。 |