昭和55年まで関西本線に紀勢本線の新宮から和歌山、高田、奈良を経由し名古屋を結んだ急行列車「しらはま」号があったのをご存知でしょうか?この列車、晩年は、新宮発名古屋行きの上りのみの設定という珍しい列車で、紀勢本線を天王寺行きの急行「きのくに」号や関西本線では急行「紀州」号などと分割併合をする多層建て列車でもありました。前身は奈良、和歌山経由で名古屋〜白浜間を結んだ急行「はまゆう」号で、後年、愛称名が「しらはま」号に改められたものです。この列車、当時、多数設定された南紀方面への観光列車の一翼を担った列車で、名古屋と京都発着の両方がありました。当時は上り下り往復の設定でしたが、昭和47年に白浜発着の名古屋行き編成が廃止されると、新宮発名古屋行きの上り列車のみの設定となり、紀伊半島をほぼ2/3周するロングラン運転となりました。新宮からは紀勢本線を熊野、松阪経由で名古屋まで結ぶ特急「くろしお」号や急行「紀州」号もあり、「しらはま」号を全区間乗り通す乗客はどれほど居たのか定かではありません。しかも片道だけの設定で、まるでミステリー列車のような迷走をする、現代では定期列車では勿論、臨時列車でも、到底実現しそうもない列車設定だったということが、今にして思えば大変興味深い列車であったと言えます。画像上=「しらはま」号伊賀上野駅にて、下=行き先表示板 |