ふとしたきっかけで鉄道趣味の面白さに再び目覚めた。楽しみ方は色々鉄道趣味は奥が深い。私の趣味活動をほんの少し披露し、併せて伊賀地域の鉄道の将来について考えます。
 
2006/09/25 20:58:55|遠征記
餘部鉄橋の話

 今回は、伊賀から離れた山陰本線の餘部鉄橋のお話です。ご存知の方は多いと思いますが、餘部鉄橋は兵庫県の日本海側に位置し、山陰本線の鎧駅と餘部駅の間にある全長約310メートル、高さ約41メートルの鉄橋です。山と山に挟まれた港町の入り江に面した深い谷を、まるで天空をゆく鉄道のごとく列車が通過していきます。この橋の歴史は古く、明治45年(1912年)に完成したもので、トレッスル型と呼ばれる種類の橋としては今も日本一の高さとその美しい姿を誇っています。このようなこと以外にこの橋を有名にしたのが、昭和61年の年末に起きた列車転落事故でした。ディーゼル機関車牽引のお座敷列車(みやび)が回送中に横風を受けて真下のカニ加工工場に転落し大勢の犠牲者が出たことです。以来、この鉄橋を渡る列車は風速20メートルを超えると抑止されることになり、冬場を中心に運休や遅れの出る列車が増えることになりました。このことが輸送の障害となり、近く、新しいコンクリート橋への架け替えが始まることになったのです。今、架け替えを前に、文化遺産とも言えるこの鉄橋を訪れる人が多いと聞きます。私も昨年の夏に初めて餘部鉄橋を訪れました。鉄橋を見学する人への利便のため、豊岡駅と浜坂駅の間に臨時快速列車(あまるべロマン号)が運転されており、私も城崎駅からこの列車に乗車しました。列車はかつて山陰、福知山線の特急で活躍した車両で先頭車は大きな展望構造になっています。運よくその展望席に座ることができ、前面展望を楽しみました。山陰地方独特の小さな漁村の集落を幾多の山を越えながら通り過ぎて、鉄橋手前のトンネルを抜けると、視界が大きく広がり鉄橋を渡ります。餘部の集落を眼下に進行方向右側に日本海を見ながらゆっくりと渡っていきます。座席が高いところにあることもあって、空中を進んでいる錯覚に陥ります。数十秒で渡り終えると、すぐに餘部駅に着きました。私は、ここで下車し、間近で鉄橋を見学することにしました。駅から集落へは山道を下ったところにあり、その間、横目に橋脚を眺めることができます。下りきった場所から見上げる鉄橋のなんと迫力のあることか、複雑に入り組んだ橋脚の造形も、一見の価値があります。今から90余年も前に作られたとは思えない工作物だと感動すると同時に、建設当時の労苦も如何ばかりであったかと思いを馳せました。それにも増して私の心を釘付けにしたのは、美しい日本海を背景に、木造民家が連なる漁村集落、周囲の山々と餘部鉄橋が織りなす風景です。これは日本の原風景のようでもありました。新しいコンクリート橋が出来れば、この鉄橋は役目を終えます。安全運行のため致し方はないのですが、なんとも惜しい風景だとつくづく思いながら帰りの列車に乗り込みました。新しい鉄橋の着工は来年だとか、それまでに皆さんも一度、訪れてみてはいかがでしょうか?







2006/09/24 22:16:25|撮影日記
撮影日記(9/24)・・・しかしウヤ!
 今日は、久しぶりに関西本線天王寺〜名古屋間に直通のお座敷列車(きのくに号)が臨時運転されるという情報を得て、喜び勇んで撮影に出かけました。日頃から、撮影の際にご同行願っている、tetuさんも一緒です。列車は名古屋へ向けて、伊賀地域を10時10分から40分頃にかけて通過する予定です。それにあわせて撮影する場所を思案しましたが、結局、佐那具駅東側のSカーブで撮ることとし、線路端の田んぼの畦で列車を待ちました。しかし、通過予定時刻を過ぎても一向に現れません。後続しているはずの普通列車が来てしまい、何やら嫌な感じがしてきました。こういう臨時列車は、少しの支障で遅れが出ることが予想され、まして列車密度の高い天王寺〜木津間を通り越えてくることから、その可能性もあります。せっかく来ているので、しばらく待つことにしました。私達の後方の直線区間で待っていた人達にはあきらめて帰っていった人もいるようです。暫らくすると三脚とカメラバックを下げて線路際を佐那具駅方向へ歩いていく人がいます。その人が私達に気づき、一言、“ウヤですよ”・・・がっかり!ウヤとは鉄道用語で列車運休の意味です。団体臨時列車は、催行予定人員に達しないなどで直前に運行を取りやめることがあり、恐らくそうだったのでしょう。こういうことは結構あって、私達も経験したことがあります。まあ、こういう日もあると気持ちを切り替えて、情報交換や今後の撮影活動の計画を立てるなど久しぶりの鉄談義に花を咲かせました。画像は撮影予定だったお座敷列車きのくに号です。







2006/09/13 23:04:47|鉄道模型その他
リアルサウンドD51
鉄道模型の醍醐味は車両の収集と走行させて楽しむことですが、昨日、HO(線路幅16.5ミリ)の老舗ブランド天賞堂から発売されたD51型蒸気機関車の模型を購入しました。天賞堂と言えば精巧かつ芸術的な真鍮製模型のメーカーとして有名で、お店も東京銀座4丁目(時計台の和光の近く)にあります。HOの蒸気機関車模型なら1両20〜30万円もします。そんな高級鉄道模型メーカーがより安価に走行を楽しむ模型としてリリースしたのがこのD51なのです。このモデルは材質をダイキャストとしており、真鍮製と比べても質感的に遜色はありません、細かいパーツもしっかり付けられており、十分精巧に出来ています。そして何より特徴となっているのが、通常の走行用コントローラーで本物のD51から収録した走行音や汽笛の音、停車時のブレーキ音などとてもリアルな音が模型の速度と連動して出せることなのです。これは走行を楽しむ鉄道模型の楽しさを何倍にも広げてくれます。予約から約半年を経てようやく手に入れることができました。選択式のナンバーは亀山機関区に所属した91号機としました。区名札も小さいながら亀としてあります。暫らく試運転を行って、我が家の鉄路で活躍してもらおうと思っています。







2006/09/10 15:42:53|伊賀線のこと
伊賀線で気分転換
ここのところ、夏の疲れが出るのか心身ともにしんどくて、イマイチ気分がすぐれませんでした。昨日(土曜日)も朝から頭痛がして、昼食後もゴロゴロ惰眠していましたら、次男が電車に乗せてくれとせがみます。気が進まないので“明日にしよう”と言うと大泣きです。仕方なく、伊賀線で伊賀神戸まで往復くらいならと出掛けました。丁度、赤忍者編成がやってきて、次男は大喜び、靴を脱いで車窓を楽しみ始めました。私はというと、外は蒸し暑く、ただでもしんどいのに体に堪えましたが、車内に入ると程よく冷房が効いていて、心地よく、次男と一緒に車窓を見るうちに、見慣れたはずの景色が新鮮に見えてきました。稲刈り作業に精を出す老夫婦、美しく刈り取られた田圃の風景を見るにつけ季節はもう秋なんだと実感させられました。夕映えの山々も里の風景も伊賀線の心地よい揺れに体を任せていると、遠い旅で見る景色のようです。伊賀神戸まで行ってそのまま同じ電車で戻ってきましたが、僅か1時間ほどのミニトリップが私をリフレッシュしてくれました。もう夏バテなんて言ってられない、明日からはもうちょっとシャキッとしようと思いました。こんな気分転換の機会を与えてくれた次男と伊賀線に感謝です。







2006/09/03 15:02:57|関西本線のこと
関西本線複線電化問題のはなし
今回は少し堅い話です。私の個人的意見として読んでください。関西本線の複線電化は、非電化区間の沿線地域、特に伊賀地域の長年の悲願と言われてきました。実現に向けた運動の歴史は大変古く、昭和30年代から行政を中心に活動団体を組織し運動が続けられています。その数もひとつではなく、全区間の自治体で組織する「関西本線複線電化促進連盟」、奈良〜亀山間の自治体で組織する「関西本線奈良亀山間複線電化促進同盟会」、伊賀市と伊賀地域北部の企業、各種団体、個人で組織する「JR関西本線複線・電化を進める会」、京都府内の自治体で組織する「JR関西本線電化促進会」があり、このほかにも伊賀地区の市議会議員で組織する議員連盟もあります。これらそれぞれが独自で、または互いに連携してJRなどへの働きかけや、利用促進のための活動を続けています。関西本線はご承知のとおり、全区間のうち複線電化が完成しているのはJR難波〜木津間のみで、亀山〜名古屋間は一部を除いて単線電化、加茂〜亀山間は非電化単線になっています。従って、沿線の地域によっては、既に一定の整備が完了した地域は運動も一段落といった感がありますが、全く整備が進んでいない加茂〜亀山間の沿線、特に京都府内の笠置町、南山城村、三重県の伊賀市などは運動も熱心で、住民の願望も強いものがあります。しかし、地元の期待とは裏腹に、現状は非常に厳しく、JR西日本は自社での電化整備には、利用の低さを理由に、消極的あるいは否定的な姿勢であると言われています。確かに、短編成の気動車が1時間に1本程度運行されるだけの線区の現状では、電化整備に必要な投資と、その後のランニングコストが回収できるとは考えられません。電化(単線)を見極める指標として、1日あたりの利用客が8,000人から1万人程度であると、かつて聞いたことがありますが、加茂〜亀山間の現状ではその半分にも満たないとのことです。しかし、このことは鶏が先か卵が先かとの例えにも象徴されるように、電化による都市部への直通運転や、かつてこの線区が担っていた都市間輸送を実現すれば、線区の利便性の向上と沿線地域に与えるインパクト(活性化)による潜在需要の掘り起こしが期待できます。当面は非電化区間を電化して直通運転を可能にするとして、需要がどの程度あるかをしっかり精査する必要があります。もともと、亀山地域や伊賀地域においては潜在需要があるのと、近年は企業立地などで地域のポテンシャルが高まりつつあると思いますので、個人的には相当程度の底上げが期待できると思います。鉄道整備による地域の活性化の例は他の地域での成功例(北陸本線直流化と長浜市など)も大いに参考になるでしょう。また、初期投資と路線維持に不安な鉄道事業者に全てを頼るのが無理ならば他の地域でも見られる地元(自治体、企業、団体等)との協働による整備のあり方を検討する必要があると思います。具体的には費用の一定部分を地元が負担するということです。今のところ、現状を考えれば地元負担を避けては実現は難しいでしょう。これを進めるには沿線自治体(府県市町村)の働きが重要です。このことは、以前から非電化区間の沿線自治体もその必要性を認識していると思いますが、折からの自治体財政の悪化も重なり、真剣な議論になっていないのが現状です。応分の負担をすることとは、電化に対して税金を投入することですから、沿線自治体が住民に説明責任を果たせること、町づくりと一体となった高い優先順位の政策として位置づけることが必要です。勿論、住民には強い願望があり必要と感じていることが最も重要であることは言うまでもありません。しかし、残念ながら、現状では、沿線地域はそこまで真剣に取り組んでいる様子はありません。関係自治体は財政状況の比較的良かった時代でさえ、資金の負担の議論からは逃げ腰で、掛け声だけだったような気がします。政治家の選挙の際に公約として掲げられるものの真剣に具体的な行動を起こした方がどれほどいらっしゃるでしょうか。沿線住民も自治体の掛け声や政治家の公約で期待を持つものの、遅々として進まないことに対し、最近はあきらめムードも感じているようです。行政や政治家は、実現すべき地域の課題として住民に投げかけるのなら、もっと真剣に議論すべきではないでしょうか。そうでないのなら、長年続けている運動そのものも何の意味もなくなります。しかし、何とか地域の活性化に電化が必要だという本気があるのなら、もっと住民や鉄道事業者と実質的な議論をして欲しいと思います。
この問題は、また、折にふれて考えていきたいと思います。皆さんのご意見を頂戴できれば嬉しいです。