令和4年の正月は想像できない出来事に見舞われ、心穏やかに過ごすことは出来ませんでしたね。しかし気が付けばもう7日を過ぎ、災害に難儀する方々への思いは抱きつつも、無事であった者は日常を生きることに勤しまないといけません。そのような訳で、ようやく仕事も趣味も御用始めとなりました。 趣味活動の初は、大阪の下町を走るチンチン電車(阪堺電車)に、現役では国内最古の車両が1月末まで毎日運行されるということを聞きつけ、喜び勇んで乗り鉄を楽しんできました。 この車両、モ161形といい、昭和3年に神戸の川崎造船で製作されたものです。同僚は15両ありましたが、大半が廃車され、今稼働できるのは4両のみ。しかし、定期的な運行はなく、車両不足の際の臨時運行や貸し切り運行などに限られ、しかも冷房がないため、夏季の運行はありません。つまり、一般に乗車できる機会は極めて少ないのです。以前から、機会があれば乗ってみたいと思っていたところ、今回、阪堺電車の粋な計らいで、約1か月、ダイヤを公表しての臨時運行となったことから、それを狙って乗ることも撮ることも可能になったのです。本当に感謝しかありません。 1日の運行は午前と午後に天王寺や恵美須町、浜寺公園前を1往復程度する運用となっていますが、車両は4両のうちのどれが来るかは分かりません。それぞれに塗色が違い、私のお気に入りは深緑の161形なのですが、運よくそのクルマに乗ることが出来て、とても幸運でした。 車内は、木枠の窓や板張りの床、凝った意匠の金具など昔懐かしい雰囲気が漂っています。芳しいニスの匂いや、釣りかけ式という独特のモーター音も楽しく、往復2時間弱の至福の旅を味わうことができました。 この古い車両を、今も現役で運用するには、保守管理の並々ならぬ努力があってこそだと推察します。運転技術の面でも最新のものとは違い、腕が試されるのではないでしょうか。それだけの努力とコストをかけても残そうという、まさに阪堺電車の意気込みと誇りを感じます。どうか末永く維持していただきたいと願います。 鉄でない方もノスタルジックな気分に浸れること請け合いです。興味のある方は、阪堺電車のホームページを参照の上、お出かけになられてはどうでしょうか? |