今季初めての本格的な雪降りとなった1日夜、伊賀線上野市駅を訪れると、珍しいものを見つけました。駅舎内に入ると何かを燃やす匂いがしており、ストーブの不完全燃焼かと思い周囲を見ると駅構内にあるレールのポイントが凍結して動かなくなるのを防ぐため、装置に直接、カンテラの火を当てているのです。雪国の鉄道ならば、この季節にはよく見ることができるのでしょうが、意外に降雪の無い伊賀では珍しい光景ではないでしょうか? 私自身も大変久しぶりに見た気がします。数十年前、私がまだ高校生の頃、伊賀線を使って通学していた経験がありますが、あの頃は、今よりも降雪が多かったのか、雪の日になれば良く伊賀神戸駅構内のポイントを同じようにカンテラで暖めているのを見たものです。夜遅くの帰途には幾つものカンテラの炎が幻想的にゆらめいているのが印象的で、立ち止まって見入っていたこともありました。そう言えばその頃の同級生がその様子を俳句にして褒められたこともありました。 カンテラを見ていると高校時代の思い出が思わず甦ってきましたが、滅多に雪による運行障害が起きないこの鉄道でも安全運行のための備えがきちんとされていることに安心感を覚えました。 実はこの日の昼間、横浜から陸送されてきた伊賀線新車両の第2編成が、クレーンを使って比土駅の側線に載せられ、最終列車の運行が終わった深夜に860系車両を使って牽引され上野市車庫に搬入されたようです。私は友人とその様子を見学に行く予定でしたが、折からの雪降りとなり残念ながら断念しました。しかし、あの降雪の中、社員の皆さん等の手によってきちんと搬入作業が行なわれていたということは、どのような状況でも安全確実に鉄道の業務をこなす鉄道員の誇りを感じずにはいられない思いがしました。 |