久し振りに上京の機会を得たことから、空き時間を利用して千葉県のいすみ鉄道を訪問してきました。 いすみ鉄道を訪れるのは約10年ぶりですが、この間の変貌ぶりには目を見張るものがありました。路線自体は、旧国鉄木原線を転換した第3セクター鉄道で、経営に喘ぐよくあるローカル線でしたが、現在の鳥塚社長が民間公募で就任されてから、数々の活性化策を打ち出し、地方鉄道活性化の先進事例となっています。特に、昭和の鉄道風景を再現するためJRをお払い箱になった旧国鉄型ディーゼルカーを購入し、昭和の急行列車として運行を始めるとたちまち人気に火が付き、メディアでも取り上げられ今や全国区の知名度があるローカル鉄道に成長しています。このほか、希望者の自費で運転士を養成する独自施策を打ち出すなど、今まで誰もなし得なかった発想で活性化を図っています。 そんな変貌したいすみ鉄道を見てみたいとかねがね思っていましたが、やっと今夏行くことができました。 趣味的にはやはり、旧国鉄型ディーゼルカーのキハ28、52型の急行列車がお目当てでした。いずれも思い入れのある車両で、キハ52型は大糸線で運用されていたもので、何度か乗車したことのある車両です。この日はレストランキハとして、車内でイタリアンを賞味できる列車として運用されており、私が乗車した便は、大原駅で折り返し、スイーツ列車となるものでした。ボックスシートにうまく仕込まれたテーブルで絶品スイーツをワインかコーヒーでいただくことができました。また、久し振りの旧型キハへの乗車には懐かしさで胸躍るものがあり、鉄道趣味を持たない人でも十分楽しめると実感しました。沿線は失礼ながら特に特徴的な資源はありませんが日本の原風景が残る地域で、そこに昭和の急行列車が走る姿がぴったり嵌ったということでしょう。 一時は存廃に揺れたいすみ鉄道が今や地域の宝として輝きを放つ存在になったことは、こうしたキーマンによるアイデアと実行力のおかげという学ぶべき好例といえます。 |