「ここには何もないがあります」と謳う「いすみ鉄道」を再訪してきました。 今回で4回目の訪問となりましたが、目的は大きく3つありました。一つは、クラウドファンデイングの手法で国鉄一般色に塗り替えられたキハ52の姿を拝むこと。二つめは前回の訪問時にあいにく検査期間と重なったため、乗車が叶わなかったキハ28に乗車すること。三つめは、公募社長として様々な施策を打ち、同鉄道の名を全国区に高めた鳥塚社長が勇退された後の様子を見たかったことです。また、特に今回は、朝から夕方までの丸一日、貴重な国鉄型気動車に揺られながら、行ったり来たりの「乗り鉄」を楽しみ、昭和の国鉄ローカル線の雰囲気を堪能することに重きを置きました。 率直に何度訪れても、この鉄道の魅力は色あせることはないと実感しましたが、経営の見直しによるものか、昭和の急行列車は前回よりも減便となり、終点の上総中野まで直通する列車も減っていたようでした。恐らく、古い車両の負担を軽減するための措置なのでしょうが、レストラン列車のツアー客以外の一般客は前回までより少ない感じがしたのが気になりました。関東周辺でも多くの鉄道が活性化を目指して、様々な魅力的な列車の運行を行っていますので、仕方のない事かも知れません。しかし、貴重な国鉄型気動車とそれが似合う沿線風景という他にはないアイテムを活用した独自のアイデアでこれからも他の鉄道のお手本であり続けてほしいと切に願うところです。 大原から車両基地がある大多喜へ戻る、最終の急行列車は、私を含め数人程度の乗車だったこともあり、キハ28の4人がけボックスシートを一人で占領し、窓を大きく開けて、心地よい風を浴びながら、ディーゼルエンジンの唸る音と、レールを刻むジョイント音に耳を傾け、その昔に、関西本線で味わった感覚を思い出す至福の時を過ごすことができました。令和の時代になっても、これが体験できることに感謝です。 ※画像上=多くの支援で塗り替えられて綺麗になったキハ52、画像中=全国で唯一、キハ28(58)型が現役で走る。画像下=本線走行は出来ないが動態保存のキハ30も所有する。 |