今、千葉県のローカル鉄道が熱いようで、テレビや各種メディアで取り上げられることが多くなりました。特に、公募社長の手腕で廃線の危機から脱し、多くの観光客を集める「いすみ鉄道」は「何もないがここにある」をキャッチフレーズに、旧国鉄時代の何かしら懐かしさを感じる雰囲気がウケて注目度抜群となっています。 私も、過去2回当地を訪れ、改革前後の違いに驚いた一人ですが、このほど、一鉄道趣味人としてももう一度訪れたくなり、3度目の訪問をしその魅力に憑りつかれていることを再認識してきました。 いすみ鉄道の魅力は何と言っても、旧国鉄型気動車キハ52,28を観光列車として運用していることでしょう。しかし、今や現役で走る車両がここにしかなく、単に懐かしいだけでは、撮影を趣味にしている人たちの被写体でしかありません。もちろんその人たちの発信力も大切なのですが、そこは鉄道事業として運賃収入にならないといけませんから、これをどう活用するかが大事になります。いすみ鉄道では、この車両を観光列車として特化し、乗って楽しむ列車として仕立てているところがポイントです。最近、レストラン列車は全国各地に拡がっていますが、ローカル鉄道の活性化策とした意味で先駆けと言えるでしょう。沿線に何もないのなら、移動手段であるはずの鉄道自体が資源になるということです(何もないは謙遜で始発の大原は伊勢エビ水揚げ有数の漁港を持ち、本社のある大多喜は城下町)。 地元特産を取り入れた伊勢えび特急やスイーツ列車、居酒屋列車の運転などもさることながら、沿線高校生とのコラボなど地域が一体で後押しし、鉄道が沿線地域の経済を回し、その恩恵を地域に還元する。そうすることでローカル線が地域に必要とされ将来に残ることができる。ローカル線の存続活性化がうまくいっているところは、こういった好循環が生まれているというということでしょう。これは、これからこの難しい課題に取り組む伊賀線も大いに参考になることだと思います。 |