魚行商者の専用列車として、約50年、伊勢と大阪の間で運行されてきた近鉄の鮮魚列車が今春のダイヤ改正で姿を消すことになりました。 廃止間近の先日、その姿を記録しようと早朝から伊賀神戸駅まで出掛けてきました。廃止が発表され、マスコミでも報道されたこともあり、スマホやカメラを向ける人もおり、関心の的になっていることが伺えます。 車両は古い通勤型車両を使用しており、全体にマルーン一色を纏った近鉄旧塗色。前面に白のヒゲを配しているのが特徴です。行き先表示幕に鮮魚と記されているのが面白いのですが、大阪寄先頭車の装置が故障したらしく、鮮魚列車と書かれた懐かしい看板を掲げており、これはこれで引退前の演出としても良かったのではと思います。 子供の頃、伊賀上野の市街地でも伊勢から来る行商の魚屋さんが居て、朝から澄んだいい声で、“あさりーあさりー”と声をかけて街角で店開きされていたのを思い出します。今はそんな人も居なくなって久しく、撮影した鮮魚列車も乗客はなく空気輸送でした。時代の流れとはいえ、地域独特の風物がまた一つ消えるのは寂しいものです。 なお、ダイヤ改正後は、専用列車としてはなくなるものの、定期列車に1両の専用車両を連結した形で継続するようです。 |