ふとしたきっかけで鉄道趣味の面白さに再び目覚めた。楽しみ方は色々鉄道趣味は奥が深い。私の趣味活動をほんの少し披露し、併せて伊賀地域の鉄道の将来について考えます。
 
2021/05/30 14:47:00|蒸気機関車
SL北びわこ号廃止公表に寄せて
 JR西日本から、先日、SL北びわこ号の運行廃止の発表がありました。コロナ禍で運転取りやめが続いていた挙句のことで、沿線地域の住民、関係者はさぞ落胆されていることだろうと推し量るところです。
 過去、滋賀県長浜市を中心とする湖北路エリアは京阪神に近い距離にあるにも関わらず、鉄道でのアクセスに課題がありました。その原因のひとつが北陸本線の電化方式(交流)が京阪神エリアのJR線(直流)と異なるゆえに一部の列車しか直通できず、近畿地方にネットワークを持つ新快速などの利便性の高い列車が乗り入れることができず、観光振興をはじめ地域振興を阻む状態にありました。このため、JR、沿線自治体、関係者が連携し、琵琶湖を取り巻く交流電化区間を直流化する取り組みを行い、鉄道と沿線地域の活性化を先進的に実現してきました。その取り組みのシンボル的存在となってきたのが、関西唯一の蒸気機関車牽引による列車でもある北びわこ号だったのです。
 今回の廃止の理由をJR西日本は、牽引する客車がコロナ感染対策に必要な換気機能の確保ができないことや、老朽化による保守管理の困難さを挙げています。もともと蒸気機関車の運行には沿線警備の必要など一般列車以上のコストがかかると言われています。鉄道事業者の収支では恐らく釣り合わないはずです。しかし、観光客誘致など沿線地域全体に利益を及ぼすことを考えれば、トータルで黒字にできるはずで、山口線のSLやまぐち号がレトロモダンな客車を新製して運行を続けていることを考えれば、もう少し、鉄道事業者と沿線地域が知恵を出すことが出来なかったのだろうかと悔やまれます。JR西日本は今後も鉄道を活用した地域振興に取り組むと言っているようですが、今後の両者の取り組みに影を落とすのではないかと懸念するところです。
 鉄道趣味の面からも非常に残念です。私自身も何度も現地に赴き、乗車、撮影と楽しませていただきました。そのたびに沿線の魅力あるスポットにも立ち寄り、地域の良さを堪能させていただきました。北びわこ号亡きあとも、湖北路に足を向けたいと思いますが、確実にその機会は減ってしまうでしょう。
 コロナ禍の利用者減少に喘ぐ鉄道事業者には余力が無くなっている。同じく沿線の地域力にも限界がある。難しい問題ですが、今しばらく耐え忍んで、コロナの後の展望を見通して欲しかった気がします。
 画像左:長らく高原のポニーことC56型が牽引してきたが、本線運転から退き、近年はD51型(画像右)が復活し牽引にあたっていた。
 







2021/05/03 12:57:14|撮影日記
菜の花畑とスナックカー
 近鉄大阪線沿いの名張市美旗には、地域が管理する広大な菜の花畑があります。新聞の地域版で列車とのコラボ写真が紹介されていましたので、ちょうど、完全引退を前に臨時運行されている12200系スナックカーとの共演を狙ってみました。
 同好の方も居られましたが、皆さん間隔を十分にとって、次々とやってくる列車の撮影を楽しまれていました。







2021/04/18 10:31:00|遠征記
近鉄12200系惜別乗車

 この春に定期運用を外れ、団体臨時列車としての運転はあるとしても、もう乗車する機会はないだろうと思っていたスナックカーこと、近鉄12200系ですが、さよならの前に4日間限定で臨時特急として運転されることがアナウンスされました。
 もともと、混雑しそうなこうした引退セレモニー的な場へ臨むことは好きではなかったのと、コロナ禍でもあるので、アナウンス後も静観を決めていましたが、初回運転の前夜に、どのくらい指定席が売れているのか興味本意に見てみると、県外からの移動自粛が叫ばれているせいか、空席が目立ちました。ならば、県内移動のみとし感染対策をとって、惜別乗車しようと思い立ち行って来ました。
さて、当日の乗車区間は伊賀神戸〜賢島間、大阪上本町発の列車は4両編成で7割程度の乗車率、この類いの列車にしてはやはり寂しい感じです。
 かつての特急マークをあしらった丸型標識が前後に付けられ、唯一さよなら運転であることを示していました。
沿線にはご同好の面々がカメラを向けられていましたが、各地に点在といった感じで大集団となっているところはなかったのではと思います。
 車内も静かで、走行音や車内アナウンスも良く聞こえ、普段通りのスナックカーを味わうことができました。また、このまま廃車にするにはもったいないと思えるほど、綺麗に調えられた車内設備も相まってこれまで以上に快適に過ごすことが出来ました。
終点賢島では、名古屋発のスナックカーと並んだことから、狭いホームが一時的に混雑しましたが、皆さん行儀良く、他所で有りがちな混乱は皆無でした。
 月末までにあと2回のチャンスがあります。乗る、撮る、或いはステイホームで、社会情勢を見極めた上でスナックカーとの惜別をされてはいかがでしょうか。







2021/02/28 0:39:19|その他
去り行くもの(車両)たち
 春は出会いと別れの季節などとよく言われますが、鉄道車両も春のダイヤ改正を期に引退していくことがしばしばあります。
 最近は新聞やテレビなどメディアでも、引退する鉄道車両を目当てに駅などに集まり別れを惜しむファンの姿や、一部にマナーを守らないファンの姿を取り上げることが多くなりましたので、良くも悪くもそうしたことが一般に知られるところとなりました。
 さて、この春も長年、鉄路の主役として活躍した車両の引退がアナウンスされているのですが、今年の特徴としては、時節柄、ファンの集中による密を避けることを理由に、日時を知らせずに人知れず運用から外されるということがあるようです。
 その中で注目されている3車種を挙げると、まず一つ目は、地元びいきと言われそうですが、近鉄12200系スナックカー(画像左)でしょうか。近鉄最大勢力を誇った特急車両で約50年も活躍しました。現在に至る近鉄特急網を築いた立役者と言っても言い過ぎではないと思います。特急が走る本線系統でこの車両に出会わないことがないほど代表格的存在でした。この車両の引退により、濃紺とオレンジの伝統の車体色も見納めになります。実はこの車両、先日すでに定期列車から退いてしまっており、一部団体臨時列車として走行する以外はその姿を見ることは出来なくなりました。
 二つ目は、JR貨物のDD51型ディーゼル機関車です(画像中央)。国鉄型ディーゼル機関車の代名詞とも言えますが、旅客会社でもすでに同形式の定期運用はなく、JR西日本とJR東日本にわずかに残るのみとなっています。JR貨物では、唯一、関西本線名古屋(稲沢)〜四日市間で定期運用を担ってきましたが、新形式(DF200型)に交代し、同社からは完全引退となります。かつて、国鉄の無煙化(SL列車の廃止)に寄与し、全国各地でその姿が見られましたが、いよいよ終焉に入ったと言えそうです。現在、一部の列車で、画像のような異なる形式の機関車が2両繋がった(重連)運用を見ることができ、大変珍しい姿ゆえにファンの注目を集めています。
 三つ目はJR東日本の185系特急型車両(画像右)です。こちらも国鉄時代に誕生し、普通から特急まで使用できる汎用車両として活躍しました。それまでの国鉄特急車両の定番であった、クリーム色に小豆色のカラーから、白地に緑のストライプをあしらい、車体形状も一線を画すデザインとされ、登場当時は新時代の到来を感じたものでした。主に伊豆半島方面への特急列車など首都圏を中心に運用されました。筆者も過去、伊豆下田方面に向かう「踊り子号」で乗車したことがあり、重厚なモータ音を響かせ力強く走る姿に魅せられた一人です。
 近鉄スナックカー以外は、現在もなお定期運用に就いていますが、有終の美を飾れるよう、安全に見届けたいものです。







2021/02/22 1:18:42|関西本線のこと
JR西日本亀山鉄道部発足30周年で思うこと
 一般にはあまり知られてはいませんが、関西本線の非電化区間である加茂〜亀山間を運行管理するJR西日本の事業組織に亀山鉄道部という部署があります。
この組織が今年度で発足から30周年と言うことで、列車内のPR広告(画像右)や一部列車の前面にヘッドマーク(画像左)が掲げられています。
 鉄道部は、国鉄民営化間もない1990年頃、JR西日本の地方事業組織として設置されたもので、もちろん亀山以外にも各地にあります。それまでは、JR東海が管理する名古屋〜亀山間を除き、大阪方の加茂以西の電化区間も含めて本社または大阪支社が関西本線を一体で管理していたのですが、このような組織を置いた理由として、大まかに言えば、採算性の良くない非電化区間を合理化し効率的に運営しようという事で設置されたものだと思います。その頃から、JR西日本では本来の線名ではなく愛称を付けて呼ぶようになり、加茂以西は関西本線を名乗らず大和路線という愛称で呼ぶことになりました。これに合わせるかのように市販の時刻表でも、まるで別の路線かのごとく別れて掲載され、乗り換えの検索がしにくくなった覚えがあります。当時、これらの動きは、非電化区間を切り離すことで、廃線への序章にするのではないかと危惧する声も聞こえていたように思います。
 亀山鉄道部の30年間を見れば、発足当初、他線区に先駆けて、国鉄以来の旧型車を新車(キハ120)に置き換えたことや、増発やスピードアップ、イベント開催などに積極的に取り組まれていて、地域密着型組織を設置した効果を大いに発揮したと思います(その後、急行の廃止や普通列車の減便など、取り組みが後退してしまったのは残念なことでした。)。
 しかし、他の線区では利用客減に伴う大幅減便の措置が採られているところも多い中、昼間1時間ヘッドのダイヤを維持し、来月にはICOCA利用エリア拡大も果たすこととなり、コロナ禍の悪条件にあっても懸命に活性化への努力が続けられていると思います。
折しも、数日前に、JR西日本の社長会見で、維持が難しい不採算線区が多く、廃線も含めて地元と協議したい旨の発言がありました。コロナ禍と地方の沿線地域が少子高齢化と人口減少の荒波に揉まれるなかにあって、鉄道事業者のトップからこのような発言が出るのはやむを得ない面もありますが、鉄道のみならず地域の存続に関わる問題だけに一鉄道事業者と沿線自治体だけの問題とするのではなく、国全体の交通政策における課題として捉えて欲しい問題だと思います。
 会見では、たちまちの協議対象線区こそ明らかにされませんでしたが、関西本線非電化区間も決して他人事ではない気がします。もし将来にその問題に直面した時、慌てることのないように、路線と沿線地域をどういう絵姿にしていくのか、今後、関係者がしっかり議論していくことを期待したいと思います。