ふとしたきっかけで鉄道趣味の面白さに再び目覚めた。楽しみ方は色々鉄道趣味は奥が深い。私の趣味活動をほんの少し披露し、併せて伊賀地域の鉄道の将来について考えます。
 
2022/05/05 7:58:17|伊賀線のこと
2022年春 伊賀線の話題

 今春の桜シーズンは好天に恵まれ、比較的長く楽しめたのではないでしょうか。伊賀線の列車と桜とのコラボレーションは、例年に増して、被写体としても、また、乗って観ても色鮮やかに彩ってくれた気がします。四季を通じて伊賀の景色に伊賀線は欠かせないと実感します。
 それとこの春からの新たな話題がいくつかあります。上野市駅ホームと駅舎内コンコースにデジタルサイネージによる発車案内表示器が登場。伊賀線初の発車メロディ&自動音声案内も加わりました。
 また、上野市駅前に忍者が使用した武器と言われる「くない」のモニュメントが置かれ、伊賀流忍者の里の玄関口をアピールしています。
 このほか、伊賀市の伊賀線通学利用補助金の補助割合が2分の1に引き上げられたり、地元商店の特典等がついたデジタル1日フリー乗車券が発売されるなど利便性向上と利用促進に向けた新たな取り組みが始まっています。
 コロナ渦と人口減少で苦境が続いてますが、積極的な施策で挽回しようとしてますね。今年は伊賀線全通100周年のアニバーサリーでもあります。伊賀線を普段使う人もあまり使わない人も、沿線住民のひとりとしてマイレール意識で大いに応援したいものです。







2022/04/15 11:46:18|関西本線のこと
関西本線の収支状況が公表されました!!
 JR西日本が先ごろ、維持困難だとした17路線30線区に含まれた関西本線加茂亀山間(山線)の収支が初めて公表されました。それによると2017〜2019年の平均赤字額は14億6千万円、収支率は14.6%ということで、赤字額はワースト4位であることが分かりました。正直、厳しい数字だろうと予想していましたが、こうして公にされると衝撃的な数字であると感じます。
 ワースト3を見ると山陰本線出雲市〜益田間、紀勢本線新宮〜白浜間、小浜線敦賀〜東舞鶴間が並んでおり、都市間を繋ぐ幹線又は亜幹線ともいえる線区です。廃線の危機が囁かれる支線系線区は輸送密度が2ケタ台と低いものの赤字額はそれほどではありません。
 この結果を見れば、赤字ワースト上位の線区は、路線延長の長さもさることながら、都市間輸送のための優等列車を含め列車本数がある程度確保できるよう安全対策を施し、線路設備等を整え維持管理されており、紀勢、小浜線は電化区間として電路設備も維持している路線でもあります。関西本線でさえ、京阪神近郊の一部ということで、一定の列車本数を維持し、昨年はICカード利用可能エリアとして整備されました。つまり、それなりのレベルを維持するためのランニングコストがかかる路線ということです。赤字額が大きいということは輸送サービスにかかるコストが嵩む一方、それに見合う利用実態が少ないということになるのですが、国土形成や防災、地域の交通政策上、必要最小限のインフラレベルを保った結果と考えるべきかと思います。
 しかし、それによって生じる不採算状態を利益追求を旨とする民営鉄道事業者だけに押し付けるのも酷なことであり、このままでは廃線止む無しの結果しか見えません。鉄道は民間企業の単なる利益追求の手段ではありません。人の移動や物流を円滑にする公共財です。安易に廃線やバス代替の議論に走るのではなく、今回のことを契機に鉄道事業者、国、関係地方自治体、沿線住民が自分事として、広く国づくり、それぞれの地域におけるまちづくりと鉄道の役割やあり方を議論すべきだと思います。
 その際、鉄道として維持すべき路線については、線路設備等インフラを国民の財産として公共が維持管理し、運行を鉄道事業者が行う上下分離方式について具体的に検討してほしいと思います。報道によると三重県知事は会見で、関西本線の維持存続に意欲を見せられたとのこと。しかし、上下分離には否定的で利用促進策によるJRでの維持を望むとのことでした。県財政への影響を考慮した発言なのでしょうが、これまでも沿線自治体等を巻き込んだ利用促進策の取り組みや利便性向上に向けた働きかけは一定なされては来ましたが、地域的な取り組みだけでは成果としては十分ではありません。また、今後も沿線地域だけで需要を大きく伸ばせる見込みは残念ながら見出せません。
 今後は、京都府や沿線市町村と連携し、国を動かし、関西本線が本来有していた価値や機能を復権させるイニシアティブを、国交省出身の一見知事には是非とも取ってほしいと思います。単なる地域の移動手段としてだけではなく、国づくり、地域づくりに活かす観点を持たない限り、未来に残すことは難しいでしょう。それを実現するのは、鉄道事業者ではなく、公共がもっとしっかり関わりを強めることが求められると思います。








2022/02/27 0:16:32|関西本線のこと
関西本線が維持困難線区に!!

 2月16日のJR西日本社長会見で、鉄道として維持することが困難な17路線30線区の中に関西本線加茂〜亀山間が含まれていることが分かりました。
 対象は、輸送密度が2,000人未満の線区で、関西本線はコロナ渦前の2019年度実績でも1,090人と基準を下回っている上、直近では700人台にまで落ち込んでいるとのこと。30線区の中には僅か2ケタ台の地方交通線もあるものの、紀勢本線や山陰本線の一部も含まれ、幹線といえども厳しい状況であるのは変わりがないようです。今後、維持存続が適切か議論を促進したい思惑があるようで、すでに一部路線では沿線自治体と話し合いの場が持たれているとのことです。
 奇しくも前回の投稿で、こうなるのではないかと懸念を伝えたばかり、嫌な予感が的中してしまった形です。その際、国の関与をもっと強めるべきではと述べましたが、会見と前後して、国交省はローカル鉄道のあり方を考える有識者会議を立ち上げたとのこと。しかし聞こえてくるのはバス転換も進める方策を提言するらしく、議論の行方を注視していく必要があります。私としては関西本線のバス転換などあり得ないと考えていますが、この発表後に危機感を感じる声がほとんど聞こえてこないのも少し心配なところです。利用することがないからと無関心層が多いのでしょうか、国土形成や地域の存亡にも直結する問題だと考えますので、広く関心を持って欲しいと強く思います。
 ※画像は、先日加茂〜亀山間で運転されたドクターイエローこと検測車キヤ141系。輸送人員が減っても安全運行のための取り組みは日夜続けられています。







2022/02/12 10:25:04|遠征記
鉄道開業150年に思うこと
 今年は日本の鉄道が開業して150周年に当たるのだそうです。今日のテレビニュースでは、JR東日本がこれを記念して国鉄時代から活躍する人気の電気機関車を、普段は入れない鉄道敷地に並べて有料の撮影会を企画したところ、2万円以上の参加費にも関わらずわずか3分で満員になったとか、コロナ渦で大手鉄道事業者でさえ経営に瀕している中、ファン心理を突いた商魂たくましいところへ、それに応える有難いお客様だったと思います。世間では撮り鉄の行儀の悪さがすっかり定着してしまい、駅や沿線でカメラを向けることが躊躇されてしまうのは残念でなりませんが、こういうことなら双方の利害が一致するというものです。鉄道事業者にとって美味しいイベントであるなら第2弾、そして他社も追随することを期待します。私は経済的理由から参加出来ませんが…。
 さて、その記念すべき年に鉄道路線の存廃議論が具体化され始めたのは不安でなりません。JR北海道は勿論、JR西日本では輸送密度2000人未満の路線が対象になるとか。その基準でいけば、関西本線非電化区間も他人ごとではない気がします。コロナの蔓延で大手、中小問わず打撃を受けています。これまでと同様、鉄道事業者の独立採算に任せきりで良いのでしょうか。同じ国土を形成する交通網であるにも関わらず、道路に比べ鉄道への公的関与は少ないと思います。これを契機にもっと国をはじめ公共が支える仕組みを本気で考えなければ、今後ますます日本地図から鉄道が消えていくでしょう。ただでさえ人口減少と少子高齢化が進む地方から鉄道が消えればその地域の衰退に拍車がかかります。日本の活力は大都市だけでは得られません。元気な地方があってこそ持続可能な国づくりができると考えます。150周年を節目にあらためて鉄道の果たす役割とは何か、単なる移動手段だけではなく、これをどのように活かしていくのか、あり方、支え方を考えてみてはどうでしょうか。
※画像は鉄道隆盛時代の象徴的存在だった列車達ということで選んでみました。左=長距離列車の代表格ブルートレインこと寝台特急「さくら・はやぶさ」。東京到着間近の田町で撮影したものと記憶している。もともとはそれぞれ単独の運行だったが、末期にはこのように2つの列車を併結するようになった。今はこのような客車寝台列車は一部の豪華列車以外には無くなった。なお、牽引機は有料撮影会でも登場したEF66電気機関車で既にこの色の同型はJR貨物に1両しかない。
中=昼は座席特急、夜は寝台特急と昼夜兼行の働きをした583系電車。この車両は既に引退している。画像は2000年代に東海道本線でリバイバル特急「つばめ」として運行された時のもので名古屋で撮影
右=左の寝台特急「さくら・はやぶさ」のうち長崎発着の「さくら」。かつては東京九州間に多数の長距離寝台列車が往来した。終着の長崎にて。







2021/12/12 0:26:13|その他
気になる貴婦人
 関西本線に乗って西に向かうと、いつも気になる方(貴婦人)がいます。その方は細身にして流麗、公園などで佇む方には厚化粧の方が多いのですが、決してそうでなく小綺麗にされています。その姿を見かける時、いつか途中下車して会いに行こうと思うのですが、なかなかタイミングが会いません。
 ようやく意を決して、加茂駅を下り、お目当ての貴婦人ことC57型56号機が置かれている方角を目指しました。小さな案内を頼りに5分ほど歩いてたどり着くことができました。列車から見る限りは学校の敷地内にあるのかと思いきや、学校と線路に挟まれた狭い公道沿いにありました。屋根と囲い付きであるのは、長期保存する上で大切なこと、安心感があります。すぐ横に営業線がありますので、設置は加茂駅の構内から側線を使ったのかもしれません。
 静態保存機は製造量数の多さからD51が圧倒的に多いと思うのですが、この辺りではC57は非常に珍しいと思います。由緒書きには関西本線で急行列車や特別列車を牽いたとありますから、かつての寝台急行「大和」やお召し列車を牽引したのでしょう。奈良機関区のスター的存在だったと推測します。設置は昭和47年とのこと、もう50年もここにあるのですね。この間、傍らで関西本線の栄枯盛衰をどのように見て、後輩たちにどう声をかけているのか、とても興味深いです。