ふとしたきっかけで鉄道趣味の面白さに再び目覚めた。楽しみ方は色々鉄道趣味は奥が深い。私の趣味活動をほんの少し披露し、併せて伊賀地域の鉄道の将来について考えます。
 
2025/01/01 14:22:00|その他
昭和100年鉄道の今後
あけましておめでとうございます。
画像は、年末に所要のついでに寄った京都鉄道博物館企画展でのショット。さらば381系特急電車(画像左)の展示の様子です。特急やくも号の定期運用を終え、間もなく完全引退するのに合わせ展示されたものです。カラーリングは変わったものの、国鉄の特急電車と言えば基本的にはこの面構えかボンネット型とよばれる鼻先が出たタイプが基本形。そんな当たり前に見られた国鉄の名残を留める車両が、この381系電車も含め、気がつけば本線上からほとんど姿を消してしまいました。
鉄道が交通機関の主役であった昭和は国鉄が誕生、発展し、解体された激動の時代でもありました。今年は、ちょうど昭和100年の年でもあります。右肩上がりだった時代は昔日の彼方となり、人口減少、少子高齢社会が課題とされて久しい時代となりました。日本の経済成長を支えた鉄道網は今後、どういう姿になっていくのでしょうか。
地域によっては既に存廃議論が活発化しているところもあり、身近な伊賀の鉄道でも、伊賀線は言うに及ばず、関西本線でも維持存続が取り沙汰されるようになっています。
しかし、気をつけなければならないのは、民間事業だから赤字路線の廃止は仕方ないという風潮です。鉄道はあくまで地域のインフラ、単純に路線の採算性だけで判断するのではなく、その地域で果たす役割を十分考えるべきものだと思います。
何が正解か、今年も考え続ける1年になりそうです。
※画像右は、381系電車を出雲市の基地から回送する際、牽引の機関車に伴走してきた事業用車両クモヤ145型。こちらも珍しい存在







2024/12/05 7:14:55|遠征記
SLやまぐち号にリベンジした(その3)
津和野到着後のお楽しみは、小京都散策?もちろん、それは抜きにはできないが、まずはデゴイチのショーを見なければならない。乗客を降ろした「やまぐち号」の客車編成は復路の準備のため、デゴイチの牽引のまま一旦ホームを離れ、駅舎側の待避線に転線する。当然のことながら列車に乗車中は、走行している姿を見ることも写真を撮ることも出来ないが、入れ替え作業の小運転とはいえ編成のまま、その姿を捉えることができるのだ。そして、ショーの本番はここからである。客車を待避線に留め置くと、デゴイチは単機で駅構内を行き来し、駅の北側に設けられた転車台に向かう。その様子を駅の外から眺める。転車台の外側には見学者が見やすいように広場が設けられ、ベンチまで用意されている。まるで舞台で演じる役者を見る野外劇場のようだといえば言い過ぎだろうか。転車台で方向転換を見たい人はそちらへと車内放送でも案内があり、すでに多くの人が集まってカメラやスマホを向けていた。デゴイチは誘導係の振る手旗信号でそろりそろりと上手に乗った。大型蒸気らしく重量感のある音をたて、時折鳴らす短い汽笛が津和野の山々に響きわたるのが何とも哀愁がある。転車台を4分の1周して降りると脇に設けられた給炭、給水設備で復路の出発までしばし休息するようだ。そこでもにわかに撮影会のモデル状態となっていた。
さて、数時間の小京都散策を終え再び駅に戻ると、すでにデゴイチが客車を待避線から牽き出してホームに据え付ける作業を始めていた。この様子も駅の柵外から支障なく眺められる。長年の運行経験から、SLを余すことなく堪能できるように配慮されているのだなと嬉しく思った。
復路の出発は午後4時過ぎ、晩秋でかつ山あいを走るため、すぐに日暮れになるだろうと思い、往路では体験できなかった展望デッキに出て、開放感を感じながら走り去る景色を楽しもうと考えた。出発時、同じ思いの乗客たちでデッキは混雑していたが、うまく立ち位置を確保することができ、流れゆく景色を堪能した。5両目の最後部であるが、先頭のデゴイチの音がよく聞こえ、何より後部に流れるばい煙がよく見える。かぐわしい匂いも十分に感じる。五感で楽しむにはもってこいの場所だと思った。なにより強烈だったのは、トンネルに入ったときだ。多くの人は煙に巻かれるのを嫌がって、車内に避難したが、筆者はむしろ煙に巻かれることが本望なため、けっして動かず、思う存分ばい煙のさ中に身を置いた。少し不安もあったが、デッキに残った他の猛者と一緒に煙の香りを心ゆくまで味わうことができ満足だった。結局、そこを離れがたく復路の半分の行程をデッキに立って過ごした。
日が落ちて景色が見えにくくなって初めて自分の席に戻ったが、旧型客車の白熱グローブ灯を模した柔らかな車内灯が夜汽車のムードを醸し出していてとてもいい感じだった。
終点新山口到着はちょうど午後6時。帰りの新幹線への乗り換え時間があまりなく、後ろ髪を引かれる思いであわただしく列車を後にしたが、往路も復路も駅での時間もSL列車を味わい尽くせた良い旅だった。これはまた乗りに来ずにはいられないと心に誓った。
※画像左=津和野駅構内の設備で休息中のデゴイチ、画僧中央=往路出発に備え客車を入れ替える様子、画像右=最後尾の展望デッキから見た走行風景







2024/11/27 22:33:00|遠征記
SLやまぐち号にリベンジした(その2)
山陰の小京都「津和野」に向けて疾走する「やまぐち号」は、市街地が連続する県都山口までは平坦区間を軽やかに駆けるが、ほどなくしてトンネルや勾配区間が連続する山間区間に入る。速度も落ち、喘ぎながら進むようになると、デゴイチには申し訳ないが、筆者はここからが蒸気機関車の旅の真骨頂だと考えている。この旅をぜひ五感で感じたいと思っているが、幸いにもこの“新しい”客車は窓が開く。ボックス席に相席の方にはお断わりして、側窓を少しばかり開けさせてもらうと、あのいい香りが漂ってくる。鼻の奥に少しツーンとする、かぐわしい“ばい煙”の香りだ。そして耳を澄ませば、線路のつなぎ目を刻むジョイント音に加えて、前方からボッボッボッというブラスト音も聞こえてくる。これこそが蒸気機関車の旅の醍醐味である。トンネルではばい煙が入るので窓を閉めてという放送が入る。私は全く平気なのだが、他の方には迷惑だったかも知れない。
行程の中ほどにある地福駅では10数分の停車時間がある。峠越えを頑張ったデゴイチもここで暫し休憩をとる。津和野までは9駅に停車するが、ほとんどの駅は停車時間が短く、それでもホームに降りて写真撮影に挑もうとする人は多いのか、毎回、車掌から追い立てられるように促され車内に戻されている。しかしここではようやく落ち着いて記念写真を撮ることができるのだ。どうせ急ぐ旅でもなし、過密ダイヤの中を行くのではないのなら、できればもう少し停車時間の長い駅を設けてほしいところだろうか。それにしても、沿線でやまぐち号を見守る地元の人たちは温かい。列車に向かって手を振る人の多いこと多いこと。沿線で手を振る人を見かけたら、是非ふり返して下さい。と案内放送も入る。45年間、山口線沿線で愛され、支えられてきた証だろうとしみじみ思う。
その後、いくつかのトンネル、鉄橋を越え、田園風景の中を進むと、この地域特有の赤い瓦屋根、石州瓦を葺いた家並みが眼下に見えてくる。早くも終点の津和野である。2時間の旅も筆者にとってはあっという間だった。しかし、落胆することは無い。まだお楽しみは続くのだ。(続く)
※画像右=峠越え後、地福駅で小休止するデゴイチの面構え、画像左=展望車のオロテ35は、戦中戦後に活躍した展望車マイテ49を再現したもの







2024/11/24 21:38:01|遠征記
SLやまぐち号にリベンジした(その1)
11月に入って秋が深まり、ようやく気候が落ち着いてきた先日、久しぶりに一人旅に出た。
旅の目的は、以前から行きたかった広島県尾道市を散策することと瀬戸内の景色が車窓から楽しめる呉線の乗車。そしてメインは、少し足を伸ばして山口線でSLやまぐち号にリベンジすることだ。
リベンジとは穏やかでないが、実は10年前の夏にも家族を連れて、やまぐち号の旅をしたことがある。しかし、その時は、前年の水害の影響で山口線の一部区間が運休していた上に、SLの調子が悪くディーゼル機関車が牽引するDLやまぐち号となってしまったのだ。まあ、それはそれで良い旅だったし、今やDL牽引の列車の方がレア度は高いのであるが、やはりSL牽引のやまぐち号には乗っておきたい。しかも、コロナ禍やSLの不調でここ暫くは運行が出来ず、今年5月からようやく本格運行が始まったばかり、新調された専用の客車も興味がある。暑い時期は避けてと、行けるタイミングを計っていたら、今年の運行が終了する11月になったという次第である。
前置きはさておき、本題の列車はというと、今のカマ(牽引機)はD51200号機(梅)、言わずと知れたデゴイチである。やまぐち号のレギュラー機は本来、貴婦人ことC571号機シゴナナであるが、そちらは、近年、不調が続き、京都梅小路の庫で検査修理中なのである。数年前に動態保存機としてC56160号機に代わり、本線復帰を果たしたデゴイチが今年のやまぐち号の先頭に立ってきた。筆者もこれまで何度もその姿を見てきたが、あらためて客車5両を繋いだ姿を見ると、やはり堂々とし大型蒸気の面目躍如といったところである。さて、出発前の撮影など一連の儀式を終え、列車に乗り込む。客車は、これまで国鉄時代から使用されてきた12系客車をレトロ風に改造したものだったが、現在は完全な新製車両である35系4000番代に代わっている。驚くことにこの車両、最新設備と機能を備えた車両であるのに外観も内装も細部まで昭和初期の旧型客車をオマージュしていて、とても雰囲気がよいのだ。懐かしくも新しいとはこのことを言うのだと実感する。5両のうち、両端の車両は展望車となっていて、津和野行きの最後部となる車両はかつて、特急つばめなどで連結された最上級クラスの展望車両を再現していて、その再現度も秀逸である。運行するJR西日本のこの列車に対する意気込みが相当強いことが伺える。実は、この車両の指定席を予約しようと試みたが、人気が高くチケットを取ることは叶わなかったのである。列車全体でも指定席は満席とのことで、やまぐち号が根強い人気に支えられていることを実感した。結局、席が取れたのは一般車の4人がけボックスシートの1席であったが、運良く進行方向窓側に陣取ることが出来たのは幸いであった。
汽笛一声、新山口を多くの見送りを受けながら静々と出発、連結の間隔が開く時の客車特有のショックは、新製車両らしくあまり感じないが、機関車が牽く独特の前後の揺れは確かに感じた。津和野までの約2時間、復路も含めて4時間の感動と興奮の旅がはじまった。(続く)
※画像左=新山口駅ホームに入線したSLやまぐち号、右=旧型客車の良さを再現した新型客車







2024/10/18 8:01:12|その他
近鉄の新型通勤車両に乗る

近鉄の通勤型一般車としては、24年ぶりに新造された8A系。デビュー前からマスコミなどでも取り上げられ、注目度抜群となっています。ようやく先日10月7日に営業運転を開始したとのことで、対面の機会を伺っていたところ、10日目にしてその機会が巡ってきました。
10月17日、京都での所用を終え、いつもなら伊賀への帰路はJRが定番なのですが、近鉄で帰れば運次第で、8A系に遭遇するかも知れないと思い、今回は近鉄京都駅にてお茶でも飲みながら、暫しお目当てが登場するのを待ってみることにしました。
8A系が運用されているのは、大阪、奈良、京都を中心とした京都線、奈良線系統のみですが、今はまだ4両編成が4本だけとのことで、遭遇出来る確率は低いだろうと思い、気長に待つつもりでいました。しかし、駅に着いて程なくして新田辺行き普通列車として入線したのを発見。はやる気持を抑えながら近づき、外観や車内をじっくり観察。現物はこれまでの近鉄一般車の常識を破る近未来的なデザインや有名デザイナーの手による温かみのある車内も相俟って噂通り秀逸なものでした。
本当は大和八木方面への急行運用なら乗って帰るのに好都合なのですが、走りも堪能したいため、普通列車であるもののこのまま乗車。従来車に比べ、騒音や振動がなく静粛性に優れていることに驚きました。シートはロングシートとクロスシートをモードチェンジできるLC仕様となっていますが、従来車のLC用シートよりも座面の肉厚があり座り心地がよいと感じました。来年度以降は大阪線や名古屋線でも運用が始まる予定ですが、同線の長距離運用でも体への負担は少ないだろうと感じました。
また、8A系の大きな特徴とされる、やさしばシートは、特にふかふかした優しい座り心地で、子供連れの方や大きな荷物を持った方には喜ばれることだろうと思います。
良いことづくめの新車なのですが、ひとつ残念に思ったことは、乗務員室後ろの開放感がなく、前面展望が効かないこと。貫通扉部分しか前が見えないのです。何らかの理由によるものだろうと思いますが、もう少し工夫できなかったのかなと思います。
8A系の登場により、現在活躍中の車齢約50年にも及ぶ旧型車両が順次置き換えになるとのことですが、近鉄では車齢の高い車両も、清潔、綺麗によく手入れされ、古さを感じさせることがありません。この新車もぜひ末永く大切に扱っていただき、沿線住民にも長く愛される車両になってほしいと思います。







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