先月来3度にわたって実施された観光列車「はなあかり」による実証実験が本日最終日を迎え無事終了した。ツアー代金が3万円前後する京都から伊賀上野、関への三重の旅が果たしてどの程度需要があるのか、実験とはいえ一般に販売されたツアーであるので、個人的にも寂しい状況だけは避けたい思いがあった。それが蓋を開けてみれば、各日とも定員(1回50人)を上回り、即完売とのことでホッとしたのが正直なところであった。1度や2度なら物珍しさ、鉄道ファンで満席になるだろうと推測したが3度目もとなれば少しは脈があると思わずにはいられない。 加えて、今回は実証実験の意義も含めたメディア取材が多かったことと、伊賀市長をはじめ沿線自治体の首長も積極的に出向いた歓迎ぶりも2月の名古屋直通実験以上だったように思う。地元のこの取り組みに対する並々ならぬ期待を感じるものであった。 確かに、課題となっている関西本線非電化区間の利用促進や収支改善が観光列車の運行だけで解決出来るものではないだろう。しかし、沿線人口が減り続ける中、区間内の利用者を対象にした現在の普通列車のみの運行形態では限界がある。本来、都市間利用を使命とした関西本線の役割はそうではなかったはずであるが、時代の変遷とともに活用されることなくその使命は失われてしまった。その結果が今の姿である。今後は、沿線自治体と鉄道事業者が協働し、観光列車であれ、何であれ、都市部など人口集積地から関西本線を利用する人を増やす手段を講じること、沿線地域は地域の魅力を高め、交流人口を増やすこと、これらが両輪となってはじめて鉄道も地域も活性化すると確信する。 ※画像上=11/12柘植駅、下=12/3島ケ原〜月ケ瀬口 |