ある調査によると、新生児の男女比は母親が富裕であるか否かによって偏りがあり、生活環境がよい母親ほど男児を産む割合が高いそうです。
こう聞くと「富裕層は産み分けをしているのではないか」などとうがった見方をするむきもありそうですが、これは貧困層が75%を占め経済的状況が妊婦の健康状態に如実に反映されるルワンダ共和国での調査結果のため、生物学的な根拠があると考えられているようです。
詳細は以下から。
Why richer mothers have more sons | Mail OnlineBiology Letters誌に掲載された仮説は、「経済状況・生活環境がよく健康な子どもが期待される場合は、母親が次の世代(孫の世代)まで遺伝子を残すには娘より息子を持つ方が有利だ」というもの。強く健康な男児はライバルとの競争に勝ち潜在的には数百人もの子どもを作る可能性を持っているためです。
逆に母親が病気や栄養失調の場合、息子を持つことは遺伝子を次の世代に伝えるには不利となります。弱く不健康な男児は子どもを持つ年齢まで生存することすら危ぶまれるうえ、将来的に競争に勝ち子孫を残す可能性が低いためです。この場合は厳しい競争に勝たずとも妊娠できる娘を持つことの方が進化論的には合理的とのこと。
母親の経済状況・健康状態が出生時性比にどう影響するかを調査するため、オランダの研究者たちは2002年に編さんされたルワンダの子どもを持つ女性9万5000人以上のデータベースを用い、経済状況・健康状態の指標となる配偶者関係と産んだ男女の数を比較しました。
一夫多妻制のルワンダでは女性の間に厳しい序列があります。高位の妻たちは下位に位置する妻より権力や収入が大きく、一世帯に妻の数が多ければ多いほど、分け合う財産や食べ物は減っていきます。予期された通り、一夫多妻制の婚姻では下位の妻は上位の妻より娘を産む割合が高かった、と研究者たちは Biology Letters誌で報告しています。
最も違いが顕著な数値は、一夫一婦制の婚姻にある母親からは男子100人あたり女子99人が生まれるのに対し、一夫多妻制で3位かそれ以下の妻である母親からは男子100人あたり女子106人が生まれているとのこと。
女性は生まれてくる子どもの性別を選択することはできませんが、いくつかの研究では女の胎児のほうが男の胎児より強く、流産されにくいことが示唆されています。母親が病気やストレスで流産しやすい貧困状態にある場合、このことも男女比に影響しているのかもしれません。
人口の75%が貧困層で平均寿命が50歳しかないルワンダのような国では、経済状況が子どもの男女比に与える影響は先進国に比べ強いだろうとされています。