国際エネルギー機関(International Energy Agency:IEA)のチーフ・エコノミスト、Fatih Birol博士が「主要な油田はすでに石油生産のピークに達しており、世界は景気回復が不可能になるほどのエネルギー危機に向かっている」という警告を出したそうです。博士によると、世界全体の他の油田での石油生産もこれから10年でピークに達するとのことで、2年前に計算された数値を上回るペースで生産量が減り始めているようです。
詳細は以下から。
Warning: Oil supplies are running out fast - Science, News - The IndependentIEAのチーフ・エコノミスト Fatih Birol博士によると、世界の埋蔵量の75%を占めている800の油田を詳細に調査したところ、多くの大油田ですでに生産がピークに達しているようで、 2007年にIEAが計算した生産量は3.7%の下落だったのに実際は6.7%だったとのこと。大油田以外での生産も、これから10年でピークに達するそうです。
「今日や明日ではありませんが、ある日、我々は石油を使い果たします。その日、石油が我々に別れを告げる前に我々は石油から独り立ちしなければなりません。今のすべての経済や社会制度は石油の上に成り立っており、変化には多くの時間と多くのお金が必要ですが、少しでも早く準備を進めなければなりません。我々はこの問題をとても深刻に受け止めなければならないでしょう」
実際、石油需要が増加した場合に既存の油田の生産減少量をカバーするだけの新しい油田開発が間に合っておらず、石油危機の危険性が出ています。大油田の最初の査定で、IEAは世界的なエネルギーシステムは岐路に立っており、供給を上回る石油需要は"明白に支えきれない"と結論を出しました。もし石油需要量が現状のまま推移するのであれば、世界はサウジアラビア4つ分にあたる石油を見つけなければならず、もし需要が2030年まで予想されている増加をたどるのであればサウジアラビア6つ分が必要となります。
すでにOPEC非加盟国での石油生産はピークに達しており、石油が安い時代は終わったと多くの政府は気付いているそうです。このため、潤沢な石油埋蔵量を持つ中東やイギリスなどの国の市場での力は2010年以降強くなっていくと考えられており、石油の価格が高騰することで世界経済の回復はさらに遅れることが予想されているとのことです。
よく「石油はあと**年で枯渇してしまう」と言われてきましたが、いよいよそれが現実味を帯びてきたのでしょうか。