日本を含め東アジア系の人々は、ヨーロッパ系の人々に比べ、「恐怖」と「驚き」や「嫌悪」と「怒り」などの人の表情を判別するのが不得意な傾向があるそうですが、
Current Biologyに8月13日付で発表された最新の研究結果によると、ヨーロッパ人が人の顔全体を見るのに対し、アジア人は目を注視することがその理由となっているようです。
詳細は以下から。
Facial Expressions Show Language Barriers, Tooグラスゴー大学のRoberto Caldara博士らによる研究で、人と人との感情のコミュニケーションは今まで専門家たちが考えていたよりはるかに複雑であることが明らかになりました。これまで全世界共通だと考えられていた「表情」でも、異文化間で感情を伝達する際には頼りにならないかもしれません。
「東洋人と西洋人では、表情を読む際相手の顔のどこを見るかが異なるということが明らかになりました」とグラスゴー大学心理学科の院生Rachel E. Jackさん。「西洋人は目と口を同程度に見るのに対し、東洋人は目をより重視し、口は無視しがちです。これにより、異なる表情であっても目の辺りが同じように見えれば、東洋人にとっては見分けるのが難しくなります」
研究では13人の西洋人(西ヨーロッパ系
コーカソイド)と13人の東洋人(
東アジア人)にさまざまな表情の人の写真を見せ、それらの写真を7つのカテゴリー(うれしい・悲しい・驚き・恐怖・嫌悪・怒り・無表情)に分類してもらい、その際の被験者の目の動きを記録しました。その結果、東洋人は西洋人よりはるかに目を注視し、表情の読み間違いも有意なほど多かったとのこと。
Jackさんによると、表情を読む際の目の動きの違いは、表情そのものの文化による違いを反映していると考えられるそうです。このデータは西洋人は顔全体で感情を伝えるのに対し、東洋人は感情を表すとき目に大きく頼り口はあまり使わないということを示唆します。
東西の顔文字の違いを調査した結果も、この説を裏付けるものだったそうです。
「顔文字は人の表情をアイコン化したもので、サイバースペースでの感情の伝達に使われています。興味深いことに、これらのアイコンの構成には明らかな文化的違いが見られました」とJackさん。「例えばうれしい時は『 : ) 』悲しいときは『 : ( 』など、西洋の顔文字は主に口で感情を表します。それに対し東洋の顔文字はうれしい時『 ^.^ 』、悲しいとき『 ;_; 』などのように目に重点が置かれています」
「目は口ほどにものを言う」とも言いますが、外国人とコミュニケーションをとる際には目だけに頼りすぎない方がよいのかもしれません。