パタパタ天使と、南の国の青いそら
『母となった後輩と子育て中の皆さまへ、この物語を贈る』
三重県の真珠が、南の島へ飛んでった! 人間、生きていればいろいろな場所へ行くけれど、まさか私が三重の緑豊かな街から、パスポートもいらない南の楽園・沖縄に住むことになるなんて、神様だって予想していなかったに違いない。
私は三重の健康管理センターで、毎日せっせと働いていた。 「みなさーん、健康第一ですよ!」 なんて言っている本人が、実は大の食いしん坊。美味しいものの前では、カロリーの計算なんてどこかへ吹き飛んでしまう。インスタグラムの私のページは、まるで世界一賑やかなメニュー表みたいだった。
人間、じっとしているなんて退屈の極みだわ! 毎日「健康第一!」って笑顔を振りまいていた私。でも、私の心の中の羅針盤は、もっともっと遠くの、見たこともない世界を指していたみたい。
三重県から世界へ!お転婆娘のハッピー・フライト
「よし、私、世界を見てくる!」
そう決めたら、トランクひとつでオーストラリアへ留学! 我ながらものすごい行動力。英語に悪戦苦闘しながらも、美味しいオージー・ビーフを頬張り、持ち前のド根性と努力で、気がつけば一回りも二回りも大きな「優秀な(自分で言うのもなんだけど!)国際派」になって帰国した。
そんな私の前に、運命の神様がこれ以上ないくらい素敵なプレゼントを差しだしたの。 出会ってしまったのだ。沖縄生まれの、とびきりあったかい心を持った彼に!
「僕と一緒に、沖縄の海を見に行かない?」
彼のその一言で、私の人生のトランクは一瞬でひっくり返った。私たちは恋をして、結婚して、気がつけば私は、どこまでも青い沖縄の海に囲まれて暮らすことになっていた。
那覇空港の国際線、ただいま世界をおもてなし中!
沖縄に来てからの私は、さらにパワーアップ。 だって、那覇空港の【国際線グランドスタッフ】という、とびきり華やかで、とびきりやりがいのあるお仕事を掴み取ったんだから!
「Welcome to Okinawa!」 「めんそーれ、沖縄へようこそ!」
英語を駆使して、世界中からやってくるお客様を笑顔でお迎えする毎日。制服を着て、背筋をピッと伸ばして微笑む。整った髪、キリリと締めたスカーフ。我ながら、なかなかに格好いい。 だけど、私の頭の中は半分くらい、 (今日の夜ご飯は、何を食べようかしら。やっぱりジューシー(沖縄風炊き込みご飯)かな、それとも、あのカリカリのラフテー?) なんて食いしん坊な作戦会議で大忙し。
インスタのフォロワーさんたちも、「今日の沖縄グルメ」のアップを楽しみに待ってくれている。 青い海、どこまでも高い空、そして美味しい食べ物。 「あぁ、私、世界一幸せなグランドスタッフかもしれない!」 なんて、毎日パタパタとハッピーに駆け回っていたのだけれど……。
世界で一番ちいさな、おっきな宝物
そんなある日、我が家にこれ以上ないくらいの「大事件」が起きた。 お腹の中にいた小さな命が、元気いっぱいの産声をあげて飛び出してきたのだ。
「おぎゃあ!」と生まれたのは、男の子。
もう、可愛くて、可愛くて、仕方ががない! 彼の小さな手、ミルクの匂い、そして何より、ぷにぷにとした天使のほっぺ。
「ねぇ、あなた。この子のほっぺ、まるで出来たてのジーマーミ豆腐(落花生のお豆腐)みたいにツルツルで柔らかいわ!」 主人は呆れたように、でもとっても嬉しそうに笑った。 「我が子を美味しそうなものに例えるのは君くらいだよ」
でも、本当にそうなのだから仕方がない。 大好きな沖縄の海を眺めながら、腕の中の小さな天使をあやす。この子が大きくなったら、一緒にこの青い海に飛び込んで、それから市場の美味しいサーターアンダギーを半分こして食べるんだ。
三重で育った私が、沖縄で恋をして、お母さんになるなんて。 人生って、本当に美味しくて、楽しくて、予測不可能。
南国の風に吹かれながら、私は今日も我が子のほっぺにチュッとキスをした。これから始まる3人の毎日は、きっと沖縄の太陽みたいに、眩しくて、とびきり明るいものになるに違いないわ!
まるで双子ちゃん!?小さな怪獣たちのパタパタ・ダンス
そんなアクティブな私も、今は制服をクローゼットに仕舞って、人生最大の重要任務【育児休暇】の真っ最中! 我が家にやってきた男の子の赤ちゃんが、もう、可愛くて、可愛くて、仕方がないのだ。
しかも、嬉しいことに、主人の友人のところにも同じ年の赤ちゃんがいる。 二人とも、まだ1歳にも満たない、生まれたてのホヤホヤ。
ある日、お友達の赤ちゃんが我が家に遊びにやってきた。 二人の男の子をリビングのラグの上にゴロンと仰向けに寝かせると……まぁ、大変!
「キャッキャッ!」 「ばぶー!」
まるで「僕たち、双子の兄弟だよ!」と言わんばかりに、そっくりな笑顔で息ぴったり。 まだ寝返りもうまく打てないくせに、小さな手と、ちぎりパンみたいなムチムチの足を、一生懸命にパタパタ、バタバタと動かしている。
「ねぇ、見て!まるで二人で、南の島のダンスを踊っているみたい!」
それを見つめる私たちお母さん二人は、もう完全にノックアウト。 可愛すぎて、胸がキュンとして、お顔がすっかり緩んでしまう。 リビングの中は、赤ちゃんたちの満面の笑顔と、お母さんたちの満面の笑顔で、まるでひまわり畑がドカンと爆発したみたいに、幸せいっぱい!
三重で育って、オーストラリアで学んで、沖縄の空の下で、私は今、最高に可愛い天使の「お母さん」をしている。 仕事も、留学も、グルメも、育児も、全部全力投球! だって、人生は一度きり。この青い海と空みたいに、私の毎日は、これからもとびきり明るくて、ワクワクすることに満ち溢れているに違いないわ!
(おしまい)