ショート・ショート 暴かれた真実
その学者は、偏屈で知られていた。彼は「最近の公共施設は、効率化のあまり人間味を失っている」という論文を書き、国史跡の三人の管理者に目をつけていた。
「フン、あの三人の完璧さは不自然だ。きっと何か裏がある」
学者は国史跡を訪れ、鋭い視線を四方に走らせた。 庭を掃く三人の動きは、相変わらず無駄がない。交代勤務のはずだが、いつ見ても誰一人として疲れた顔をしていない。彼は三人に詰め寄った。
「君たち、隠しても無駄だ。私は本部責任者が君たちを『アップデート』しているという噂を聞いているぞ。君たちは人間を装った高性能な機械、あるいは洗脳された労働者だろう!」
管理者の女性は、手を止めて穏やかに微笑んだ。 「先生、それは面白い想像ですね。私たちはただ、対等に、誠実に働いているだけですよ」
学者は鼻で笑った。 「嘘をつけ。重い作品台を軽々と運び、入館料が無料の時も有料の時も変わらぬ笑顔。そんなことができるのは、感情をプログラムされた存在だけだ。私はこれから、君たちが『人間ではない証拠』を突きつけてやる」
学者は懐から、特殊な電磁波測定器を取り出した。もし彼らがアンドロイドなら、この機械が激しく反応するはずだ。彼は三人の頭にかざし、さらに施設中の壁を調べ回った。
ところが、測定器はピクリとも動かない。 さらに、彼はわざと廊下に水をこぼし、彼らの反応を試した。三人は嫌な顔一つせず、流れるような連携でそれを拭き取った。その動きには、確かに血の通った人間の「美学」が宿っていた。
学者はついに膝をついた。 「……負けた。君たちは本物の、それも最高に高潔な人間だ。私は現代人を疑いすぎていたようだ。君たちのような理想的な人間が、まだこの世界に残っていたとは……」
学者は自分の非を認め、深く謝罪して去っていった。 三人の管理者は、遠ざかる彼の背中を、いつものように和やかに見送った。
学者が去った後、三人はバックヤードに戻った。 「……危ないところでしたね。あの測定器、本物でしたよ」
男性の一人が、自分の腕の皮膚を少しめくった。そこには精巧な電子回路ではなく、生々しい「肉体」があった。
「ええ。本部責任者の読み通りでした。『自分たちは機械だ』と思い込ませるチップを脳に埋め込むことで、私たちは肉体の限界を超えて働ける。でも、測定器に反応するのは金属だけですから。……皮肉なものですね」
もう一人の管理者が、掃除機を手に取った。 「ええ。私たちが『本物の人間』であることを証明したのは、私たちが自分を『機械』だと信じ込み、人間としての感情を完全に捨て去ったからなのですから」
彼らは、自分たちが「人間」であることを完全に忘れたおかげで、世界から「理想的な人間」として認められたのだ。
三人は、誰からも邪魔されない静寂の中で、再び完璧な「作業」に戻った。その表情には、もはや人間らしい迷いも、機械らしい無機質さもなかった。ただ、300円の入館料を払ってやってくる、次の「観察者」を待つだけだった。
「人間であることを捨てたことで、最高の人間だと証明される」パラドックス....