30日にトレーラーで伊賀の地に陸送された伊賀線の新車(元東急1000系2両)はその夜に、待機場所の伊賀サービスエリアから比土駅の作業場まで運ばれました。31日には2台のクレーンを使って、ほぼ日中を要して1両ずつ同駅の側線にレールオン。これでようやく伊賀線の線路上に新車が入線しました。 私は、友人とこの日の未明に行われた上野市車庫までの回送風景を見ようと同日の最終電車が通り過ぎた頃から、比土駅の周辺で作業開始を待ちました。
暫くして、上野市側から牽引に当たる860系が2両×2(青忍者編成+レトロ塗装編成)の4両編成でやってきました。普段は2両編成の列車しか見ない伊賀線で4両編成の列車を見るのは稀なことです。この牽引列車は一度、比土駅を通過し、伊賀神戸で折り返してから比土駅の北側で停車。その後、大勢の係員の誘導により、新車編成が留置された側線に入り、慎重に連結作業が行われました。 気が付くと周囲には、この時間帯に回送されることを予想した熱心なファンが集まり盛んにシャッターを切っていました。
連結作業を終えた回送列車は、伊賀線最長編成ともいえる6両編成で上野市車庫へと発車、私達は走行シーンを見るため、先回りして猪田道〜桑町駅間のポイントで待機し、回送列車の通過を見守りました。続いて、上野市駅まで移動し車庫への取り込み作業を見学しました。この時間で深夜2時過ぎでしたが、結構多くのファンが集まっており、伊賀鉄道の社員の方々も撮影者に対し、“貴重な記録なのできちんと撮ってくださいね”とか、上野市駅手前の国道踏切で運悪く止められたバイクのおばちゃんにも、“これ新しいクルマなんですよ、忍者列車になるんです。”と気さくに話しかけるなど、皆さん新車の入線を喜んでおられるのを感じることが出来ました。 牽引された新車編成は乗り心地を良くする空気バネ台車を使用しているため、特徴あるシューシューといった音をたてており、 早くその乗り心地を堪能したい気持ちにかられました。新たに設置されたクロスシートに腰掛けて見る車窓はきっと違って見えることでしょう。装いも新たにデビューするのがとても楽しみです。
画像上から、牽引役の860系レトロ編成が新車編成に連結された一瞬。深夜の上野市駅前踏切を通過する新車編成回送列車。上野市駅構内で一旦停止。上野市車庫に取り込まれ新車編成 |