2月16日、世間が注目する中、関西本線の直通列車実証運行が開始された。 初日となったこの日、私は伊賀市内の沿線でこの列車を記録すべくカメラを構えた。正月の伊勢初詣や修学旅行臨時列車が多数運転されていた10数年前まではこうして関西本線の線路端で列車の通過を待ったものだが、それらも無くなり、最近は撮影に出かける機会もずいぶん減ってしまった。加太周辺のかつての有名撮影地は混雑することが予想されたため、あまり人が集まらないであろうポイントを事前にロケハンしておいたのだが、それでも既に数名の撮り鉄さんがスタンバイしていて少し驚いた。加えて、従前からアナウンスされていたためか、ご近所さんとおぼしき人たちや何事かと偶然通りがかった人たちも一目見ようと世間話をしながら待っているのが、まるでお召列車でも迎えるようでほのぼのとして良かった。一方で周辺道路では、違法駐車対策か撮り鉄の暴走を警戒してか、パトカーがしきりに行ったり来たりして、少々物々しい。時には画角に侵入してきて少々興覚めする。以前では考えられなかったことだが、各地で常識を逸脱した行為が問題視されていることも背景にあるのだろう。 さて、肝心の列車は時刻通り眼前を通過した。天気は少し良くなかったもののそれなりの写真が撮れた。急行「かすが」が廃止された平成18年3月以来、JR東海キハ75型2両編成が再び伊賀盆地に現れたことは感慨深いものがあった。 今回の実証実験はネットニュースやSNSでも取り上げられ、賛否両論が展開されていた。今後の取り組みに反映されなければただの一発花火でしかないのは承知のこと。それでも、利用者の大幅減少で路線存続への危機感が増した状況とはいえ、今まで、関西本線非電化区間の活性化策にあまり積極的でなかった三重県が主導して、伊賀市、亀山市を巻き込み、JR西日本を動かして、JR東海を渋々?承諾させて直通運行を実現したのは大いに評価したいと思う。 忍者の日に合わせた、2月22日の2回目も無事に運行されることを願い、またどこかの線路端に立ちたいと思う。 |