少し前に大井川鐵道を訪問した。数年前に水害で一部区間が不通になる直前、金谷-千頭間往復でSL急行の予約を入れていたがキャンセルとなり、それ以来、足が遠のいていたのだ。 再訪のきっかけは、JR西日本をお払い箱となった青い12系客車が譲渡され、運用を始めたことからだった。それも元西武の電気機関車になんと国鉄型EF65もどきの塗装を施し、往年のブルートレインよろしく、SLとのプッシュプル(前牽き後押し)で急行列車として運行されるとあれば、国鉄好きの心が揺さぶられないわけがないというもので、さすがローカル鉄道の救世主 鳥塚社長の仕業だと感心しきりなのであった。 しかし、感心してばかりもいられない。懸念も少々ある。それは、複数台運行していたSLが次々に運用を外れ、今やドル箱のトーマスに化けたC11型と黒いままのC10型のみ。他のC11型やC56型は行方知れず、確かもう1台C56型の復活をめざしていたはずなのに、その様子も分からない。茶色の旧型客車のほとんどはトーマス牽引のアニーとクララベル塗装になり、北海道からきた14系客車や元SLやまぐち号用の12系客車の処遇はどうなるのか?おまけに国内唯一のC10型までトーマスの親友パーシーに化けるというから、大いに気になる。 大井川鐵道の目下の課題は、川根温泉笹間渡から千頭までの不通区間の早期復旧であるが、静岡県や沿線の島田市などの支援で数年後の全線開通がようやく見えてきたとのこと、しかし、沿線利用は決して多くなく、今やトーマスなどの観光利用で活路を見いだしている現状では、稼ぐ力のある商品(列車)づくりに傾注せざるを得ないのは至極当然であろう。忘れてはならないのは、大井川鐵道は三セクでも上下分離でもない、純粋な民営鉄道であること、数年後の全線復旧まで会社の体力を維持しないといけないのである。 黒いSLは少しの間、ドル箱の支援に回ってもらい、懐かしい鉄道風景を楽しみたい向きには、往年のブルートレインを用意しますよという計らいなのだろう。なんと、こちらには夜行列車やオハシという名の食堂車も設定されるとのこと、黒いSLを見られないのは残念であるが、ここはひとつ諸事情理解して、新たな大井川鐵道の挑戦を楽しみたいと思う。 |