今年は天候不順が長く続き、各地で大雨による被害が続出しており、千葉など被害地域のインフラ、特に鉄道も大きなダメージを受けていると聞き心を痛めている。こうした事象は決して他人事ではなく、当地においても過去に何度も同じような被害を受けたことがある。まさに想定以上のことが当たり前になりつつある今、根本的に対策の見直しに取り組むことが必須になったと痛感する。兎にも角にも無事に復旧されることを祈るばかりである。 さて、そんな不順なお天気がつづく中、先日久々の晴れ間の日がやってきた。1日だけ残っていた夏休みを使って鉄分補給に目的もなく伊賀線に乗り込んだ。 あれこれ行きたいところはあるのだが、夕方までには戻らねばならない用もある。北へ向かう車内で思いついたのは、京都にある鉄道カフェ。以前に友人と1度だけ行ったのだが夕方遅く滞在も短かったのでもう一度ゆっくり行ってみたいと思った。行先は京都に決まり、関西本線に乗換えた。最初は着座していたのだが、ほとんどの窓がカーテンで閉められている。最近は車内でスマホを使う人が多く遮光のためか、私のように車窓を楽しみたい者には苦痛なことが多い。沿線の視察を兼ねて運転席横でかぶり付きすることにした。 山間の線路はさぞ草まみれだろうと思っていたのだが、よく除草されている。それにコンクリート枕木の量も以前より増え、立派な軌道になった感じがする。木津川沿いの景色も秋空に映え気持ちが良かった。加茂、木津と乗り換え、奈良線で向かうつもりであったが、木津で快速との待ち時間が長い、改正のたびに悪くなっている気がする。趣向を変えて学研都市線の快速で祝園、新祝園から近鉄京都線で向かうことにした。学研都市線は非電化時代の片町線を知る者にとっては隔世の感がある。2両の気動車がのんびり走っていた沿線は宅地開発がすすみ、並行する近鉄沿線と同様に地域の価値が飛躍的に上がった。もともとポテンシャルはあったのだろうが、鉄道の利便性向上によって地域を元気にさせた好例である。 近鉄京都線では急行を利用、新型8A系を期待したがそうではなく旧来の在来車、これはこれで貴重になっていくだろう。京都駅手前では先日事故があったクロッシングポイントを前面展望した。カーブしているところで複雑な線路配置、この構造を維持するのは大変だろうと思う。列車は最徐行で通過した。 お目当ての鉄道カフェは、嵯峨野山陰線の梅小路京都西駅から徒歩5分ほど。京都鉄道博物館にもほど近い。店内はそれほど広くないが、店のファサードは一見してそれと分かる装飾がされている。鉄道廃品をふんだんに使った装飾は東京にある有名なカレー店に行ったときも驚いたが、こちらも負けていない。ただ、すっきりと統一感があってオシャレな雰囲気だ。この店の魅力は博物館にあるような操作も可能な運転台である。455系電車のものか、前部のカットボディにそれが据え付けられ、マスコンやブレーキハンドルなどを実際の手順で操作すれば、計器類が作動し、音も連動して出てくる。一般的なシミュレーターより本物を操作している実感がある。これが店の利用者が自由に触れられるから嬉しいサービスだ。それともう一つが店内2階の客席。実際の新幹線の座席が据えられ車内が再現されている。窓際には東海道新幹線の車窓映像が流れ、走行音を聞きながら座席に振動まで伝わる。ここでドリンクや軽食をいただけるのは至福の時である。休日は込み合うそうだが、幸い平日の昼間であったため、ゆっくり寛ぐことができた。この時、鉄道部品の一部は販売もされているようだった。DD51のナンバープレートなど興味があったが、今回は見るだけにとどめた。 お店を出て徒歩3分ほどの場所に京都鉄道博物館がある。やはり素通りすることはできず、蒸機の煙の臭いを嗅ぎたかったのでSLブースだけ見学した。すると、まったく予期せぬ幸運に恵まれた。博物館横を走る東海道新幹線に間もなく見納めとなるドクターイエローが走行するとのアナウンスが聞こえた(「かもしれない」とのアナウンス)。ほどなく新大阪方向へゆっくりと黄色の車体が滑って行った。 数少ない秋晴れのもと、満足な鉄分補給だった。
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