藤岡組紐店のブログ

四代目藤岡潤全の、店番と出張と帯〆製作と、 え〜と、あとなんだっけの毎日です。
 
2007/04/17 2:24:00|伊賀
ご心配をおかけしました
昨日の地震で友人・知人からいろいろと連絡を頂いております。
藤岡家は家族3人、幸い何の被害もなく元気にやっております。
いろいろとお心遣いを頂きましてありがとうございます。

地震のときはちょうど家の台所に居ました。
僕は着物を着て身支度をし、母も食事の用意が終わりかけていた頃です。
そろそろギャラリーの方にと思っていたら突然揺れが。
「あららら」と思っていたらけっこう強いのがその直後に。
台所のドアが開いているのを確認して、少し収まるのを待ちました。
揺れは多少強かったものの、さほど長引くことはなく
一応第一震はそのまま収束しました。

家は兎も角、心配なのはギャラリーです。
なんといっても築200年を超える町家ですから。
すぐにギャラリーに向かいましたが置物が落ちたくらいでなんともありませんでした。
さすが1854年7月9日の安政伊賀上野地震(死者約600人、家屋倒壊2000余)でも
倒れなかっただけはあります。

ニュースによれば伊賀は震度5弱だったそう。
隣接する亀山市の震度5強に次いで強く揺れたようです。
新聞にも中学校で窓ガラスが割れたと書かれていました。
亀山は城跡の石垣が崩れたり、水道水が濁ったりと
いろいろと被害があったようです。
地震被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

地震大国日本に生まれた宿命ですが
どうしても地震には慣れることが出来ません。
地震なんてなかったらいいのに…







2007/04/16 0:57:10|ギャラリー
yukirikohuさんご来店 または「アンフォゲッタブル」
今日は金沢のお客さま、yukirikohuさんご来店の日。

2ヶ月ぶりに袷の大島に袖を通し、
(デパート内は非常に暑いため、僕は通常は単衣を着ています)
これからギャラリーに向かおうというその時に、

グラグラグラッと!!

僕の大ッ嫌いなあんちくしょうが突然、
何の前触れもなくやって来ました。
そう、地震です。
すぐにyukirikohuさんに電話するも不通。
きっとみんなが電話をかけていたのでしょう

その後yukirikohuさんからお電話を頂きましたが
電車は運行見合わせで草津駅に足止め。
いつ動くかも分からないので少し時間はかかりますが
草津駅まで車でお迎えにあがることに。
1時間ちょっとかけて草津駅に到着。
聞けば草津駅に着いてから地震があったとか。
乗車中に遭わなかったのは本当に不幸中の幸いだったでしょう。
危うく電車内に閉じ込められてるとこですからね。

それにしてもyukirikohuさんは(いつもですが)素敵な着物姿。
今日は白大島に染め帯(兎とアザミ!)で。
もちろん着物と帯も素晴らしいのですが
yukirikohuさんは小物使いが素晴らしい。
目立つところだと半衿に寄木細工の下駄、
そしてもちろん藤岡組紐店の帯〆「漣」(笑)。
しかし僕は見逃しませんでしたよ。
足袋に兎がいたことを!
こういうさりげないこだわり、僕は大好きです。

今回は帯〆「しろがね蜘蛛」のことでご来店いただきました。
金沢では実演していない高台もありますし、
持って行っていない商品も多数あるので興味津々のご様子。
中でも伊賀出身の俳人、松尾芭蕉の句を柄にした
「さまざま桜」をお買い上げいただきました!
これは漢字とひらがなが柄になっているのですが
字を崩しているためパッと見は何の柄かは分からないところがポイントです。
また反対側は桜吹雪が柄になっています。
きっと素敵な着こなしをしていただけると思います。

地震のせいで滞在時間が限られましたが
そのあとは少し上野公園に。
俳聖殿や上野城、日本有数の高さを誇る石垣を
楽しんでいただけたようです。
いちばん目から鱗だったのはyukirikohuさんがポロリとこぼされた一言。

「太陽が山に沈んでる」

伊賀盆地に生まれ伊賀盆地に育った僕からすれば
それはあたりまえのことなのですがyukirikohuさんは金沢の方。
そう、yukirikohuさんには太陽は海に沈むものなのです!
海のある風景が非日常である僕にはちょっとした衝撃でした。

そのまま駅まで行き、お別れしましたが
行く途中でも余震がありました。
良くも悪くも今日は忘れられない一日でした。
yukirikohuさん、これに懲りずにまたのご来店をお待ちしております!







2007/04/15 1:32:51|潤全話
さよならありがと
以前この仕事は季節ごとの別れも出会いもないようなことを
書きましたがありました!
よく考えればそりゃそうですね。
一般企業とも仕事してるんですからそちらには異動も退職もあります。

先日吉祥寺から郵便があり、Yさんは担当を離れるそう。
「一体どこに異動?!」
と思い、次回出展の話も兼ねて電話してみると隣りの売場に移るとか。
担当は離れてもきっとレジ辺りで顔を合わせることでしょう。
後任のTさんもいい方ですし、これからも楽しく仕事をさせていただけそうです。

いつもお世話になっているクロネコヤマトの配達員の
S田さんが退職の挨拶に来られたそう。
ヤマトの配達員さんは何人もいらっしゃいますが
一番長いお付き合いをさせていただいていたのが、このS田さん。
全国のデパートに送る重い重いケースをいくつも運んでもらいました。
こちらのわがままもだいぶ聞いてもらいましたが
いやな顔ひとつせずに仕事をこなされてました。
S田さん、お疲れさまでした。
本当にありがとうございました。

中国語で「さようなら」は「再見」といいます。
(北京語はそうだけど広東語ほかはちょっとわかりません)
中国語を勉強したことがないのでよくは分からないのですが
「再」が含まれるってことは
「また会おうね」
というニュアンスも含まれているかもしれません。
「さようなら」は
「さようならば、これで別れましょうの意」
だそうです。
なんだか「これでお終い」のような、すこしさみしい感じがします。

何千年と続く中国の歴史において
いったい何十億、何百億の中国人が「再見」を言ったのでしょう。
そしてその中の何人が再び会ったのでしょう。
二度と会うことがなくても(それが分かっていても)
「『また』会おうね!」という言葉が交わされてきたことが
僕には素敵なことに思えます。
人との出会いは、良きにつけ悪しきにつけ、本当に大切です。
ひとつひとつの出会いを大切にしていこうと改めて思う春の日です。

なお蛇足ですが、僕の友人の台湾人は
「再見」と言いません。(台湾の公用語は北京語です)
「ババイ」と言います。
(「バ(ィ)バイ」の「ィ」が略された?)
チャットだと「881」と打たれてました。
僕たち日本人が親しい間柄では「さようなら」とあまり言わないように
「再見」という人も少ないのでしょうか?
それとも若い世代だけなのでしょうか?
ご存知の方がいらっしゃいましたらお教えください。







2007/04/14 0:57:35|潤全話
ありがとう、ブログ
このブログを始めたのが去年の末、
毎日更新を目標にしたのが1月に千里阪急に行った時の事です。

もうすぐ3ヶ月になりますが
いつのまにかアクセス数も増えて
つい最近には1日に100人を超えるようになりました。
このブログを読んでいただいている方は
友人や口頭でお伝えした方、DMをご覧になられた方が多いと思いますが
中には伝える前にお客さまから言われたこともありました。
本当に嬉しく思っています。

今朝件の桝蔵さんから母に電話があったそう。
桝蔵さんは4日のブログでお知らせしたとおり
今は世田谷の沼田絵本美術館で個展の真っ最中。
その個展にこのブログの読者の方のご来場があったのでお礼の電話でした。
藤沢小田急出展時にお越しいただいているNさんだそうです。
藤沢には母が毎回行ってますし、前回出展時にはまだブログも出来ておらず
DMに記載もなかったので
きっと探していただいたのでしょうね。
ありがとうございます。

ブログを続けてるとひとつ疑問に思うことがあります。

「これ、誰が読んでるの?」

確かにアクセス数は増えても読まれてるかどうかは分かりませんから。
たまにコメントがついたり、
友人から「今日のブログは良かった」とか言われたりすることはありますが
なんだか投げっぱなし、一方通行の感は否めません。
なのでこういう形で読んでいただいている方の姿が見えたことが
(しかもお知らせしたわけでもないのに!)
僕には本当に嬉しく思えます。
またブログがあってこそこういう繋がりが持てたことに感謝します。
これからも組紐の話や出張先の話
(+あまり役に立たない映画や音楽の話)に
お付き合いいただければ幸いです。







2007/04/13 0:22:40|くみひも
別注のはなし
朝一番に電話アリ。

東京のお客さまからでした。
昨日送った別注の帯〆が着いたとのこと。
電話に出た母はえらく嬉しそう。
それもそのはず、そのお客さまは注文の帯〆の予想以上の出来に
居ても立っても居られずに電話してきたかのような感じだったとか。
作り手冥利に尽きるとはこのことでしょう。

別注は不安要素も孕んでいます。
色の注文をしても実物を見ることのできるのは
もちろん完成してからですし、
おおよその予想はついてはいても
色というのは無限にあるものですから
ちょっとした違いで気に入っていただけないということもあります。
(それがホームページで通信販売をしていない理由でもあります)
また不安なのは作り手も一緒です。
作り手が満足していてもお客さまに満足していただけなければ
意味がありません。
ともすると返品ということも有り得ます。
だからこそ今朝の電話は福音だったのでしょう。
朝からご満足いただけたと報せを聞いた母は
一日機嫌が良かったように思います。

今回の帯〆は色数が少し多めのものでした。
地色の指定だけがあってあとは同系色で、と
こちらに任されるかたちでのご注文。
「色数が多い/しかし同系色でうるさくない」
この二つの両立。
今回に限らず色の決定は帯〆製作において
もっとも気を遣うことのひとつです。
藍色を地色にし、少しくすんだ水色や灰色を取り合わせた模様は
あたかも雲海を思わせる柄となりました。
この帯〆は色によっては春の山のようにもなり、
また明け方の空のようにもなるもので
色数が多い割りに合わせやすく人気の高いものです。


僕はまだ別注を受けて自分で組んだことはありません。
でもそのうち(ひょっとしたら近々)組むことになるでしょう。
大言壮語を吐くようで恐縮ですが
僕は期待通りのものではなく
期待以上のものをつくろうと思っています。


因みに当店は別注でだいたい5000円増しくらいからになります。
お客さまには
「別注で頼んだら何万円も高くなったことがある」
なんてことをよく言われますが
当店はそんなに高くはなりません
(普通に考えてもそんなに高くなりようがありません)
お探しの色がある場合でも
探すよりも注文いただいたほうがきっと早いです。
帯〆のことでしたらどうぞお気軽にご相談くださいませ。